山田裕貴、杉野遥亮、板垣李光人、大森南朋 『どうする家康』魅力が増す徳川四天王
井伊直政(板垣李光人)
「徳川四天王」では最年少、井伊直政を演じる板垣李光人の登場シーンは踊り子の衣装で家康に近づき、斬りかかるという印象的なもの。今川家の家臣・井伊直親の嫡男として生まれ、女城主直虎によって大切に育てられた「井伊谷からやってきた美少年」というキャッチコピーそのままに、女装の美しさと内面の勇ましさのギャップが話題になった。
家康は、いきなり斬りつけてきた直政を逃すどころか「わしを見ていてくれ」という言葉を直政にかけた。そして実際に家康に注目していた直政は民を笑顔にする家康に惹かれ、仕官を願いでた。家康の側近の中で三河出身でないのは直政だけであり、家康をほかの家臣とはまた違う、独特の視点で見ているのが面白い。
無傷の忠勝とはこれまた対照的に、美しい顔に傷を作って戦いに挑む負けず嫌いな直政の凛々しさに覚悟も漂う。「井伊の赤鬼」と呼ばれる所以となった赤い鎧姿の登場に期待が高まる。
酒井忠次(大森南朋)
「徳川四天王」で大森南朋が演じる酒井忠次(左衛門尉)は最年長。誕生の時から家康を見守り、家臣団のまとめ役でもある。宴会があれば特技の「えびすくい」を披露して場を盛り上げ、戦があれば命がけで殿をお守りする。家康の成長を誰よりも願い、近くで支えてきた忠次の人柄の良さ、温かさは大森の演技から見るものにまっすぐに伝わる。
「本能寺の変」のときも、家康の「伊賀越え」を助けるために“おとり”となることを志願した忠次。今回の秀吉との戦でも池田勢に裏切られ、犬山城を攻め落とされたとき、自分の手勢を率いて夜襲をかけると真っ先に志願したのが忠次だ。忠勝、康政、直政らも名乗り出るが「ならぬ! お主らの出番はまだ先じゃ」と諭し、「殿はすっかり頼もしくなられた。そして、お前たちもおる。必ずや勝てると信じておる。あとは頼んだぞ。お前たちがやるんだ。よいな」と、ここが死に場所と別れの挨拶まで交わした。無事に敵を撃退して帰還できた忠次……やはり只者ではない。
家康と家臣団のこれまでの信頼関係と、家臣団の忠誠心が忠次の今生の別れを意識した言葉に象徴される。今後、さらに彼らの結束力を試される事件は起きる。また「天下を取る」という大きな目標を掲げた彼らの活躍、さらにその強さに磨きをかけていく勇ましい姿が見られそうだ。
■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK