『この素晴らしき世界』若村麻由美とマキタスポーツの軽妙な掛け合い 妙子と若菜に急展開

 妙子(若村麻由美)は若菜(若村麻由美:2役)のまわりの人々との生活にすっかり馴染んでいた。『この素晴らしき世界』(フジテレビ系)第5話では、芸能界の風変わりな人生論が様々な視点から描かれる。普通なら許されないことがまかり通り、一方で誰にでもできるわけではない特別な経験が人生を照らすのだ。

 妙子は若菜のふりをして、七瀬ほのか(足川結珠)の相談に乗ることになる。だが芸能界での知見がないため、若くして売れっ子となった七瀬の悩みに的確な答えが出せなかった。妙子は母親の立場からも七瀬の抱える問題を心配し、夏雄(沢村一樹)や大木戸(谷田部俊)に話を聞いてもらう。しかし芸能界での生き方を諭され、また新たな考え方を知るのであった。そんな時、沖縄で行われる映画祭の仕事が舞い込んだ。1泊しなければならない妙子は、あの手この手で陽一(マキタスポーツ)をだまして家を出ようと奔走するのであった。

 第5話は、なんと言っても若村とマキタスポーツの軽妙な芝居のやりとりに目を奪われた。妙子は「夫を怒らせて家出する作戦」を決行したが、この日の陽一はアンガーマネジメント研修を受けたばかり。妙子がどんなに煽っても、なんとか怒りに堪えてしまう。これは妙子のピンチと思いきや、セシル(円井わん)が作戦Bを決行して、妙子のもとに育田(平祐奈)を送り込んできた。育田の相談に乗るために一緒に沖縄に同行すると話す妙子だが、陽一は責任が取れないと首を縦に振らない。だが、いざ陽一が育田と対面すると、それは朝バス停で会った“お色気お姉さん”の正体だったのだ。お色気になびいた弱みを握られた陽一は、しかたなく妙子の沖縄行きを承諾することになる。このシーンでは若村が懸命に夫を怒らせようとする妻をコミカルに演じ、そこに生粋の昭和親父を体現したマキタスポーツが応戦。令和には時代錯誤と思われるような描写の数々だが、それは少し前に目にしてきた日本の一般的な夫婦像でもある。「あるある」と頷きたくなる既視感に思わずクスリと笑ってしまうのだ。

 今やすっかり、妙子は曼珠沙華に馴染んでいる。夏雄や大木戸と共にお茶を飲みながら談笑する様子は、かつて緊張しまくっていた妙子とは違う。セシルとは夫を欺くために結託する仲に。莉湖(木村佳乃)との関係に至っては、家で食事を作り信男(須山結斗)の面倒を見るなどすっかりタレントと社長の垣根を超えている。こうして信頼関係を築くことができたのも妙子の人徳だろう。

 だが、この特別な時間がいつまで続くのかはわからない。なぜならば、若菜がついに自分のなりすましがいることに気付いてしまったから。知った以上は行方をくらますことを止め、夏雄や曼珠沙華の人々とコンタクトをとる可能性もある。そんなことがあれば妙子のなりすまし活動も突然終わりを告げるかもしれない。今後も妙子の活躍を楽しみながら、若菜の動向にも注目していきたい。

■放送情報
木曜劇場『この素晴らしき世界』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:若村麻由美、木村佳乃、マキタスポーツ、平祐奈、中川大輔、永瀬莉子、円井わん、
時任勇気、谷田部俊(我が家)、堺正章、猫背椿、佐戸井けん太、西村まさ彦、沢村一樹
脚本:烏丸マル太
演出:平野眞、山内大典ほか
プロデュース:鈴木吉弘、水野綾子
主題歌:小田和正「what's your message?」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
音楽:村松崇継
制作協力:共同テレビ
制作著作:フジテレビ
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