さて、そんな重要な役どころを担うのではないかと思われる俳優・寺田心といえば、「天才子役」として人気を博した存在だと広く知られているだろう。俳優デビュー作『とんび』（2013年／TBS系）では主人公の幼少期を、大河ドラマ『おんな城主 直虎』（2017年／NHK総合）では重要人物である虎松の幼き日の姿を演じた。現在では国民的なスターとなった神木もかつては「天才子役」として名を馳せた存在であり、人生のほとんどの時期を俳優として過ごしてきた人物だ。神木のほうが年齢もキャリアもずっと先輩だが、ほんの小さな頃に芸能界デビューを果たしていることなど、両者の共通点は非常に多い。

　それに、2005年に公開された神木の主演作にしてキャリア初期の代表作の一つに『妖怪大戦争』があるが、その続編である『妖怪大戦争 ガーディアンズ』（2021年）の主演は寺田が務めている。これが冒頭で2人のことを「何かと縁の深い」と述べた最大の理由である（ちなみに続編では共演も果たしている）。こうした2人の重なりは、『らんまん』での万太郎と虎鉄の姿にも反映されるのではないかと思うのだ。

　それに寺田といえば、『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー／最後の錬成』（2022年）で非情な悪役を演じていたことも記憶に新しい。キャスティングの秀逸さでもあるが、冷静にパブリック・イメージを裏切っていくようなパフォーマンスは、まさに妙演と呼べるものだった。ここで言いたいのは、彼ならばこうした強い個性を持つ役どころもモノにしてみせるということ。もちろん、虎鉄という役はこのダークネスなキャラクターとは正反対だろう。やはり光をもたらす存在だと信じたい。

参照

※ https://realsound.jp/movie/2023/06/post-1355384.html

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回（全26週）】
総合：午前8:00〜8:15、（再放送）12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K：7:30〜7:45、（再放送）11:00 〜11:15
出演：神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣ほか
作：長田育恵
語り：宮﨑あおい
音楽：阿部海太郎
主題歌：あいみょん
制作統括：松川博敬
プロデューサー：板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出：渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供＝NHK