『ウソ婚』長濱ねるが演じるからこその八重の魅力 “巻き込まれ型”ヒロインがハマり役に

 長濱ねる以上に、『ウソ婚』(カンテレ・フジテレビ系)のヒロイン・千堂八重がハマる役者はいるだろうか。第3話を通して、長濱が演じるからこそ映える八重の魅力を再確認した。

 八重はとにかく“いい子”すぎる。近年は、自分で道を切り開いていくヒロインが支持されているが、八重は正反対だ。どちらかといえば巻き込まれ型で、まわりに流されるままに生きている。

 しかし、彼女には“誰のことも傷つけない”という強い信念がある。傷つけないためなら嘘もつくし、自己犠牲もいとわない。ただ、さすがにやりすぎなところもあるため、本来なら視聴者にイラっとされてもおかしくないと思う。

 それなのに、泣きそうに笑う長濱を見ていると、「この子に幸せになってほしい」と心から願うことができる。八重の不器用な優しさが、スーッと胸に染み渡ってくるのだ。はるか(織田梨沙)が言った「そういう(気を遣う)子じゃん。八重って。だから、めちゃくちゃ幸せになってほしいんだよね」という言葉に、大きくうなずいてしまった。

 長濱が演じるからこそ、八重が魅力的に映る。こういう奇跡的なめぐり合わせは、そう起こることではない。加えて本作は、匠を演じる菊池風磨も“ハマり役”だと言われているのだからすごい。

 そんな奇跡が重なった『ウソ婚』は、火曜日の夜にぴったりな癒しのラブコメに仕上がっている。第3話では、ウソ婚計画の発端となった二木谷(鶴見辰吾)の誕生日パーティに出席するため、八重と匠は夫婦としての一歩を踏み出すのだが、会場では度重なる事件が……。

 ひとつ目は、八重の元同僚が、パーティ会場で給士のバイトをしていたこと。八重が結婚していることを知らなかった彼女は、「不幸な自分に合わせてウソをついてくれていたのかも」とショックを受けてしまう。

 ここで、「結婚のことを隠していたなんて、最低!」とならないのが、八重のこれまでの行いだなと思った。ふだんから、八重が優しいウソをついてきたことを、周囲の人間は気づいている。でも、建前ばかりで話されるのって、ちょっぴり切ない。親友の前でも本音を言えない八重が、唯一本音を言える場所ができたらいいなと思ってしまう。それが、匠ならなおいい。

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