浜辺美波、『らんまん』寿恵子としての成長の日々を明かす 「少女のままではいられない」

 週を重ねるごとに面白さが増し続けているNHK連続テレビ小説『らんまん』。主人公・万太郎を演じる神木隆之介とともに、視聴者を魅了しているのが寿恵子役の浜辺美波だ。あふれんばかりの笑顔と強い意志をもったキャラクターとして、『らんまん』を牽引している。初の朝ドラ出演となった本作で、浜辺はどんな役作りを行っているのか。

「大人の恋愛も入れられたらいいな」

――寿恵子(浜辺美波)は万太郎(神木隆之介)のどこに惹かれたのだと思いますか?

浜辺美波(以下、浜辺):寿恵子は、万太郎さんと比べて、狭い世界で過ごしてきたと思っています。学校に行っていないので、お友達もいなくて、お母さん(まつ/牧瀬里穂)と文太(池内万作)さんとみえ(宮澤エマ)叔母さんと「白梅堂」のお客さんという小さな世界の中で生きてきた寿恵子にとって、いろんなところへ植物採集に行ったり、東京大学に通う万太郎さんは、自分の見たことのない世界――まるで日本から海外を見るような、そんなギャップがあったんじゃないかと思います。あの人が見る世界の広さを見てみたいと思った部分が大きいと思いますし、万太郎さんの夢を聞いて、それを叶える姿、突き進んでいく姿を見続けたいと思ったのではないかなと。寿恵子は万太郎さんと話している時だけは本当に楽しくて、ワクワクして、家族には見せない顔を見せてしまう。万太郎さんと初めて出会ったのは寿恵子が17歳の設定なのですが、少女らしい恋愛から段々と関係が深まる中で、将来を見据えていく大人の恋愛も入れられたらいいなと思っています。

――撮影が進んでいくに連れて、浜辺さんの中で寿恵子として変化していったものもありますか?

浜辺:あります。特に17歳の時は監督からも、「最初にやった時よりも、もっと若く」「もっとキャピキャピした、高校生くらいの感覚で」「時代劇とかそういうことは全く考えないで」と言われていたので、少女性みたいなものを重視していました。自分で観ていてもこの時は、ふわふわしている感じがあるというか。今は、万太郎さんとの結婚からその後の展開がある中で、万太郎さんはすぐに植物採集に行ってしまったりするので、寿恵子は家庭を支えなくてはいけない、少女のままではいられないなという強さが出始める頃なんじゃないかと思います。

――『らんまん』で描かれている明治時代は、社会の中での女性の立場や男性との関係性など、現代とは価値観の異なる部分が多くあります。

浜辺:女性と男性の距離感については、現代と違う部分があるのを感じています。寿恵子が持っていたかる焼きを万太郎さんがパクッと食べるところが、寿恵子としては異性と最も近づいた体験でした。肩が触れ合うというような、今では何気ない距離感でも、心が動かされることが当時ではあるんだろうなと思っています。高藤(伊礼彼方)さんの距離の詰め方はまた独特で、すぐに触れようとする海外の距離の近さがあって、慣れるまで居心地が悪かったのかなと思っています。私でさえ社交ダンスの距離感は苦手で。初対面の人とすぐ組むのには近すぎるので、現代に通ずるようなドギマギする感じはあるんだろうなと。女性と男性の距離感や立場が現代とは違う部分があると感じています。

――以前、伊礼彼方さんがインタビューの中で、浜辺さんは「ダンスが苦手という意識があったみたい」と話していたのですが、実際にダンスは苦手なんですか?

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浜辺:ダンスは全く得意ではなくて。鏡張りの部屋で、スタッフさんたちが見ているっていう環境がまず駄目なんです。表情筋が動かないし、どうしようってずっと俯いてる感じだったと思います。伊礼さんの明るさ、前向きな姿勢に助けられました。全くできないところから少しずつステップが身体に馴染んできて、相手との距離感に慣れてきたぐらいから、楽しく踊ることができて、特に本番は楽しく踊れました。ダンスの練習が嫌いなだけで、ダンスは好きなんです。だから、本番というものの力を借りて、役としても楽しく踊ることができて、いい思い出になりました。

――伊礼さんとのダンスシーンを振り返っていかがですか?

浜辺:劇中では高藤さんとの決別のダンスのように描かれていると思うのですが、私たち的には伊礼さんとの最終日でもあったんです。2人の間でダンスの答えが見つからないまま本番の日を迎えまして、最終的には本番中にその意思疎通の仕方の答えが見つかり、伊礼さん本人も非常にオープンな方なので、2人で抱き合うような、清々しいラストの日になりました。

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