アクリ瑠嘉がロイヤル・バレエ『シンデレラ』で得たものとは? 映像ならではの魅力を語る

「一回一回の舞台を大切な思い出に」

――日本の観客の方々は映画館で『シンデレラ』を観ることになりますが、映像だからこその見どころはありますか。

瑠嘉:シネマだからこそ、面白い部分はあると思います。特に義理の妹のような役にとっては、ちょっとした表情が見どころになりますね。舞台の客席から見るのとは違って、さらにディテールが見える分、こういう撮影のときはカメラをすごく意識しちゃいます。お客さんにとっては細かいところまで見えるという点で舞台にはない体験ができますので、楽しんでいただきたいですね。

――カメラが入ることで、お芝居や表現に変化をつけるということは?

瑠嘉:『シンデレラ』に関してはいつもと同じようにやりました。でも、他の演目はカメラが入るときには表現を少なめにします。多分みんなもそうしていると思いますね。舞台に立って客席の奥の方にまで伝わるように表現するのと、カメラで撮影する場合の表現はまた違うと思うので。アクティングというのは深いですよね。映画俳優の表現は舞台のパフォーマーとは異なりますが、そういうところにも学ぶことがありました。でも今回に関しては、僕はいつもの舞台と同じように表現しました。やりすぎはよくないけれど、一応パントマイムなのでちょっとオーバーになってもいいくらいかなと思いました。

――来月はロイヤル・バレエ団の来日公演があるそうですね。

瑠嘉:コロナ禍の状況の中、もう何年もこのカンパニーでツアーができない状態でした。だからこの公演はカンパニーとしても久しぶりだし、とても楽しみにしているんですよ。レパートリーもさまざまな作品があるので、ロイヤル・バレエのいろんな面が見られるという楽しみがあると思います。ぜひ皆さんに観に来ていただきたいです。『ロミジュリ』もそれぞれの役を公演ごとに違うプリンシパルがやっていて、前回の2016年とはまた全然違うキャストになっていると思います。今のロイヤル・バレエは熱いです!

――本当にチケットを取った方は、皆さん心待ちにしていると思います。

瑠嘉:楽しんでいただけるように僕らは頑張りますので。

――準備は順調ですか?

瑠嘉:そうですね、いつも通りギリギリなのですが(笑)。時間を大切にリハーサルしています。

――瑠嘉さんは、トントン拍子にやりたいことを叶えている印象があります。弟さんと日本で同じ舞台に立ちたいという夢も叶えられて、ロイヤルのカンパニーで日本に行きたいという夢も叶えていますよね。

瑠嘉:本当にありがたいです。嬉しいですね。今の僕の立場で、やりたいことをやらせてもらえるのは幸せなことだと思うので、先ほども話した通り意味のある舞台にしたいです。お客さんには一回一回の舞台を大切に楽しんでいただいきたいですし、僕らパフォーマーとしても、一回一回の舞台を大切な思い出にしていきたいですね。お客さんが楽しんでくれれば僕らも楽しんでいけるし、こちらが楽しんでいればお客さんにも楽しんでいただけると思うので、そういう空気をお客さんと分かち合えると思います。一つ一つ挑戦して、色々な舞台に立ちたいです。もっともっと日本で踊りたいですね。

――もしかしたら、これから日本での公演が増えていくかもしれませんね。

瑠嘉:あるかもしれません。この前も都民芸術フェスティバルの『ドン・キホーテ』に出させていただいて、あんな楽しい舞台はなかったというくらいの大切な思い出になったので、どんどんいろんなことをやってみたいです。

■公開情報
ロイヤル・バレエ『シンデレラ』
6月16日(金)〜6月22日(木)、TOHOシネマズ 日本橋ほか全国公開
振付:フレデリック・アシュトン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
舞台美術:トム・パイ
衣装デザイン:アレクサンドラ・バーン
照明デザイン:デヴィッド・フィン
映像デザイン:フィン・ロス
特殊効果:クリス・フィッシャー
振付指導:ウェンディ・エリス・サムズ、ギャリー・エイヴィス
指揮:クン・ケッセルズ
演奏:ロイヤル・オペラハウス管弦楽団

出演:    
シンデレラ:マリアネラ・ヌニェス
王子:ワディム・ムンタギロフ
シンデレラの義理の姉たち:アクリ瑠嘉、ギャリー・エイヴィス
シンデレラの父:ベネット・ガートサイド
仙女:金子扶生
春の精:アナ=ローズ・オサリヴァン
夏の精:メリッサ・ハミルトン
秋の精:崔由姫
冬の精:マヤラ・マグリ
道化:中尾太亮
配給:東宝東和
©2023 Tristram Kenton
公式サイト:http://tohotowa.co.jp/roh/

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