『らんまん』『おかえりモネ』『なつぞら』など 朝ドラの奇跡的な“再会”を振り返る

 連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)の第6週となる「ドクダミ」が放送された。大八車に山のような荷物を積んで家探しを始めた途端に、貴重な標本をトランクごと盗まれる。万太郎(神木隆之介)と竹雄(志尊淳)の東京暮らしはスタートから波乱続きだった。

 そんな中でも、どうにか住まいを見つけた2人。それはドクダミが咲く薄暗い長屋の一角だった。根津にある「十徳長屋」は偶然にも寿恵子(浜辺美波)が働く白梅堂の近所である。万太郎が「内国勧業博覧会」のため東京に出向いた日以来、ついに寿恵子との再会を果たすことになる。

 これが万太郎にとって、どれほど感動的なことか。店に出向くも寿恵子に会えず意気消沈して座り込んでいるところを、寿恵子のほうから見つけてくれたのだ。優しく声を掛ける寿恵子の存在に、万太郎は心を射抜かれる。この再会のシーンは、万太郎を演じる神木隆之介のコミカルな演技の魅力もあり、SNSには「見ている側も2人のやりとりにズギャンッ!!」、「万太郎と寿恵子の再会シーンが楽しすぎて声をあげて笑った」などの感想が上がっていた。

 朝ドラにおいて、主人公と大切な人との出会いは物語のキーともいえる重要なシーンとなる。とりわけドラマチックに描かれ、視聴者の心をグッと掴み話題になってきた。

『おかえりモネ』最終回で描かれた希望と願い 清原果耶×坂口健太郎の抱擁は未来の象徴に

東日本大震災を背景とした『おかえりモネ』(NHK総合)に、一つ答えを見出すとすれば、それは「許す」ということだと思う。相手を、過…

 印象的だったのは、『おかえりモネ』(NHK総合)の最終話で描かれた百音(清原果耶)と菅波(坂口健太郎)の再会だ。真っ青な空と海を背景にハグをする2人の美しさもさることながら、パンデミックを経てようやく大切な人に会えたという物語に感動が込み上げる。「やっと会えた」と話す菅波の表情からは、描かれなかった空白の時間に彼が医師としてどれだけの厳しい現実を乗り越えてきたのか、どれだけ百音を心の支えにしてきたのかがひしひしと伝わってくる。また、人との距離を詰めることに「いいんですか?」と一瞬、躊躇してから胸に飛び込む百音の姿も感慨深い。コロナ禍が落ち着きつつある今、改めて見返すと当時とはまた違った視点で見ることができる名シーンだ。

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