『波よ聞いてくれ』『日曜の夜ぐらいは...』春ドラマはラジオが熱い 偶然から生まれる奇跡

 そういう話し手と聞き手の距離の近さもテレビにはないラジオの魅力の一つだろう。多くの場合、ラジオではリスナーからのお便りを紹介するコーナーが設けられており、お便りが読まれた人もそれを聞いた人もまるで友人とおしゃべりしているような感覚になれる。だから母親の代役としてツアーに参加したサチ以外の参加者たちがすぐに打ち解け、お互いをラジオネームで呼び合っているのも分かる気がした。

 髙橋海人と森本慎太郎のW主演で、オ-ドリ-・若林正恭と南海キャンディ-ズ・山里亮太の半生を描く『だが、情熱はある』(日本テレビ系)には今のところ、直接ラジオは登場していない。しかし、天才ともてはやされるでも、人気者としてクラスの中心にいるわけでもない屈折した青春時代を送り、芸人になってからも相方の陰に隠れていた2人が日の目を浴びるきっかけを与えた一つがラジオだった。

 ラジオはテレビと同様に不特定多数の人に向けたメディアではあるが、テレビよりも自ら番組を“選んだ”能動的リスナーが集まりやすいため、若林や山里以外にもハライチの岩井勇気や三四郎の相田周二など、いわゆる世間には“じゃない方”として知られている芸人たちがあまり気負うことなく個性を発揮できる場所でもあるのだ。そして、彼らが語るテレビではちょっと気が引けるような、地味で些細な話が案外心に刺さったりする。

 少々大げさかもしれないが、ラジオは偶然から奇跡が生まれやすい場所といってもいいだろう。そこから生まれた奇跡が描かれる3つのドラマをぜひ楽しんでほしい。

■放送情報
『波よ聞いてくれ』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15〜0:15放送
出演:小芝風花、片寄涼太、原菜乃華、中村ゆりか、平野綾、西村瑞樹(バイきんぐ)、井頭愛海、中川知香、小市慢太郎、北村一輝ほか
原作:沙村広明『波よ聞いてくれ』(講談社『月刊アフタヌーン』連載)
脚本:古家和尚
演出:住田崇、片山修、植田尚
音楽:林ゆうき、山城ショウゴ
エグゼクティブプロデューサー:内山聖子(テレビ朝日)
プロデューサー:高崎壮太(テレビ朝日)、神通勉(MMJ)
制作:テレビ朝日、MMJ
©テレビ朝日

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