『らんまん』神木隆之介が体現したカリスマ性 『舞いあがれ!』空先輩の新名基浩が寛太に
「心が震える先に金色の道がある。その道を歩いていったらえい!」
ついに主演の神木隆之介が本格登場となった『らんまん』(NHK総合)。第11話では、蘭光(寺脇康文)の教えを忠実に守り、相変わらず好きなことに没頭する18歳の万太郎(神木隆之介)と、彼に振り回され気味な周囲の人々の状況が描かれた。
明治維新から13年後の1880年秋。今年も酒造りの季節が訪れ、峰屋は蔵人たちを迎えるにあたって従業員総出で準備に追われていた。そんな変わらない風景の中に溶け込むのは、こちらも今回から本格登場となった志尊淳演じる竹雄だ。好青年ぶりはそのままに、立派な働き手として成長した竹雄。竹雄と同い年の22歳になった、佐久間由衣演じる綾も実に麗しい。どこに出しても恥ずかしくない娘に育った彼女には次々と縁談話が持ち上がっているよう。それなのに話が一つもまとまっていないのは、本人が乗り気ではないから。縁談のために着物を仕立てている最中でさえ、綾は蔵人たちが峰屋に到着したと聞くや否やそちらにすっ飛んでいく。
そんな綾の姿を見て、「綾と万太郎2人を足して割りたいくらいじゃ」とため息をつくタキ(松坂慶子)。そう言いたくなるのも分からないでもない。なにせ、この大変な日に当主である万太郎は不在。あろうことか、竹雄の目を盗んで山へ植物採集に出かけてしまっていた。ただ一応当主としての自覚はあり、良い酒ができるように祈願する蔵のお祓いまでには戻るつもりだった万太郎。しかし、時間を忘れてしまうほどに美しい植物と万太郎は出会ってしまったのだ。
それは、まるで黄色い釣り鐘のような花。一度見たら忘れようもないほどの美しさであるにもかかわらず、植物に関する本の虫である万太郎にも見覚えがなかった。それもそのはず。1880年当時、この花はまだ誰にも発見されておらず、当然名前もなかったのだから。第一発見者は万太郎のモデルになった植物学者の牧野富太郎。のちに牧野博士はこの花にジョウロウホトトギスと名を付ける。本作のオープニングで最初に登場することからも、この花は万太郎が植物分類学の道を進む大きなきっかけとなるのだろう。