寺脇康文、『らんまん』で理想の教育者に 『相棒』亀山を彷彿とさせる“厳しさ”も

 『らんまん』(NHK総合)の第2週がスタートし、9歳になった万太郎(小林優仁)は武家の子息だけが通学を許される学問所・名教館に通うことに。しかし、登所早々、少々みすぼらしい身なりの謎の男に誤って水をかけられてしまう。この男の名は池田蘭光(寺脇康文)。のちに万太郎が恩師と仰ぐようになる重要人物である。

 少し走るだけで倒れてしまうくらい体が弱かった万太郎は、祖母のタキ(松坂慶子)曰く「生きていてくれさえいればいい」という思いだけで育てられてきた。それに酒蔵「蜂屋」にいる人たちから見れば、今はどんなに幼くても万太郎は大事な跡取りであり、大切に大切に育てねばならない。万太郎はそれほどわがままではないが、周囲に甘やかされて育ち、世の中のことを知らない“坊ちゃん”なのである。

 そんな万太郎は名教館での初日から武家の子息たちとトラブルを起こし、授業の途中で家に帰ることに。すると門の前で水をまいていた蘭光から「せっかく勉学の機会をえたがやに?」と問われてしまった。蘭光は、万太郎と話しながら、彼がこれまで通りのしきたりを守っていればいいと考えていることを見抜く。そして一言、「おまんはどう思う?」と問うた。もちろんそんなことを考えたことがない万太郎は動揺していた。そしてこの言葉はその後、万太郎の心をざわつかせることとなる。蘭光の言葉は彼の胸中に「自分で物事を考える」という種を植えたのだ。

 蘭光は万太郎と話す時、小さい万太郎に目線を合わせるように体をかがめた。それに高圧的な態度や偉そうな口調は絶対に使わなかった。そんな立ち振る舞いが、自然と万太郎の心を開いたのだろう。万太郎は他人である蘭光の“教え”をすっと受け入れていた。

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 相手に合わせるように語りかける蘭光の姿は、『相棒 season21』(テレビ朝日系)で同じく寺脇康文が演じていた亀山薫を思い出させた。真実と正義を重んじる、ちょっと風変わりな刑事・杉下右京(水谷豊)の“相棒”だった亀山。右京はどんな背景があっても犯罪を犯した者に厳しく接することが多かったのに対し、亀山は厳しさもありながら励ますような言葉をかけることもあった。考えてみれば、この「厳しくも優しい」という態度は教育者としては理想の姿である。

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