『らんまん』広末涼子と森優理斗の最後のやり取りが心を打つ 万太郎の原点となった望み

 朝ドラ『らんまん』(NHK総合)第1週「バイカオウレン」は、万太郎(森優理斗)がやがて植物学に目覚めていくその原点を描いた週である。

 裏山にある神社の境内で見つけた白い花。細くて可憐でありつつも、たくましく命の力に満ちている、母・ヒサ(広末涼子)がいちばん好きな花。「どういてこんな花が咲くがか、不思議じゃね」という一言が、後の万太郎を突き動かしていくこととなる。

 「峰屋にも大きな別れが近づいていました」という第3話のナレーションは、病弱のヒサの死を早くから示唆していた。ヒサの容態が悪くなり、刻一刻と死が近づくなか、万太郎は母のために神社に白い花を探しに行く。しかし、季節は冬。いつもの場所にヒサの好きな白い花は咲いておらず、万太郎は立ち入り禁止の山へと入って行ってしまう。やっとの思いで花を見つけるも、崖の下に落ちていってしまい、綾(太田結乃)と竹雄(井上涼太)に助けられる……といった展開は、はっきり言ってしまえばこれまでの朝ドラでも描かれてきたようなベタな展開ではあるものの、万太郎たちがヒサの枕元に座ってからのラストは、万太郎を演じる森優理斗と広末涼子の芝居が観る者の心を打つ見事な5分間である。

 必死の思いで採ってきた花が、ヒサの好きな花でないことに気づいた万太郎。表情を曇らせ泣きじゃくる万太郎に、危篤状態だったヒサがわずかに意識を取り戻す。見つけた花が違っていても、自分を喜ばせようと、勇気づけようとしてくれたことがヒサにとっては何よりも嬉しかった。そして、人を笑顔にするという万太郎の生まれ持った才能は、綾も認める「峰屋」の当主としての資質とも言えるだろう。「春になったら……お母ちゃん……あそこにおるきね。また会おうね」――それがヒサが残した最期の言葉となった。

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