ウディ・ハレルソンが逆上するセレブをなだめる 『逆転のトライアングル』本編映像公開

 2月23日より公開中の映画『逆転のトライアングル』の本編映像が公開された。

 『フレンチアルプスで起きたこと』で第67回カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員賞、『ザ・スクエア 思いやりの聖域』で第70回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞し、本作でカンヌ史上3人目の2作品連続パルムドール受賞という快挙を成し遂げたオストルンド監督。本作では、「ファッション業界とルッキズム、そして現代階級社会」をテーマに据えた。

映画『逆転のトライアングル』本編映像:キャプテンズ・ディナー 【2月23日(木・祝)全国ロードショー】

 公開された本編映像は、豪華客船の旅のメインイベントといっても過言ではない、船長(ウディ・ハレルソン)がお客様をゴージャスにおもてなしする“キャプテンズ・ディナー”のシーン。ワイングラスが床を転がるような大嵐の中開催されたディナーは、船長のお出迎えから始まる。アルコール中毒で普段は自室にこもりっきりの船長は、クルーの指示に従いながら身支度を整え、不自然に傾いた姿勢で副船長と共にゲストを待つ。レストランにやってくるセレブたちが次々に船長に挨拶していくが、1人の女性が「船の帆が汚れていた」とクレームを入れてくる。それに対し船長は「(帆は)洗えないと思いますよ。なぜなら発動機船なので帆はついてない」と穏やかに返すが女性は逆上。「カタログで確認した」と否を認めない彼女に船長は慣れた様子で「分かりました。帆を洗いましょう」とウインクし客をなだめるが、これは嵐の前の静けさだった。

 オストルンド監督はハレルソンとの仕事について、「彼とは出演交渉時に、アメリカの左翼と北欧の左翼の違いについて話したんだけど、それがとても興味かった。酔っぱらった船長がセレブたちに『グダグダ言わずに税金を払え』というセリフがあるんだけど、それはウディとの会話からヒントをもらった。僕らスウェーデン人は国への信頼が厚いから、税金は有効活用されると信じている。だけどウディが言うには、アメリカの左翼は『税金なんて払って何になるんだ? ロビイストや軍需産業に流れるだけだろ』と全く信用していない。その考えは僕にはまったくなかったから面白いなと思ったんだ。もともと作家の言葉の引用で船長のセリフの一つにしようと考えていたんだけど、彼からその考えを聞いて、この言葉を何度も登場させようと思いついたんだ」と、ウディとの会話がきっかけで、より面白味に溢れたシーンが生まれたことを明かしている。

 さらにこのシーンの撮影についての壮絶な裏話も。本作は“地獄絵図”を撮影することを最優先に考えられ、セットは20度の傾斜を作れる回転台の上に作られた。ハレルソンら俳優陣と撮影スタッフは実際に傾いたセットの上で長い時間を過ごし、現場では実際に船酔いする人が続出。酔い止めを飲みながらの撮影となり、映画の舞台裏自体も地獄のようだったと監督は語った。

(左から)ウディ・ハレルソン、リューベン・オストルンド監督

■公開情報
『逆転のトライアングル』
TOHOシネマズ 日比谷ほかにて公開中
監督:リューベン・オストルンド
出演:ハリス・ディキンソン、チャールビ・ディーン、ドリー・デ・レオン、ウディ・ハレルソンほか
配給:ギャガ
Fredrik Wenzel ©Plattform Produktion
公式Twitter:@triangle0223
公式Instagram:@triangle0223

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