草彅剛が岸部一徳と対決 『罠の戦争』が問いかける権力と救いというテーマ
『罠の戦争』(カンテレ・フジテレビ系)第6話で、代議士になった鷲津(草彅剛)は、派閥のボスである幹事長の鶴巻(岸部一徳)と対決する。
泰生(白鳥晴都)の事件の隠ぺいを指示したのが鶴巻であると知った鷲津は、犯人の情報を引き出すため鶴巻の秘密を探ろうとする。多忙を極める鶴巻は毎月第2・4月曜日だけは予定を入れず、そのことは公然の秘密になっていた。鶴巻の行き先は鷹野(小澤征悦)たち派閥の議員も知らず、過去に探ろうとして更迭された議員が何人もいる。鉄壁のガードを突破するため、鷲津は梨恵(小野花梨)や眞人(杉野遥亮)と協力して鶴巻を尾行する。
前話の選挙戦から間を置かず、事件の真相追求に移行するテンポの良さに目を見張った。良い意味で回りくどくないストレートな展開は、本作を含む「戦争シリーズ」の特長である。尾行がバレて鶴巻に呼び出された鷲津は、単刀直入に鶴巻に用件を切り出した。「君は知らなくていい。せっかく議員になったのにこんなに早く辞めたくないだろう」。問い詰められても余裕しゃくしゃくの鶴巻は、選挙戦で鷲津が市議に配った500万円をちらつかせながら、なかば脅すかのようにやんわりと言い聞かせた。
第6話で急浮上したキーワードが「権力」だった。民政党を牛耳る影のボスで、各界に影響力のある鶴巻は脅威になる相手を権力を用いて消し、マスコミにも圧力をかけていた。鶴巻の底知れなさは権力がはらむ闇の深さのように思える。鶴巻と対立する総理の竜崎(高橋克典)が鷲津に接触をはかったのは、鶴巻を追い落とすためであることは明らかだ。権力を握った人間同士の容赦ない潰し合いを、厚生労働大臣の鴨井(片平なぎさ)は「男社会のパワーゲーム」と言い、「政治の世界が一番の男社会」「ボス猿の集まり」と評する。鴨井自身、そのことを理解した上で女性初の総理大臣を目指している。