乃木坂46 鈴木絢音の俳優業の歩みを振り返る 『リバーサルオーケストラ』での飛躍に期待
門脇麦が主演を務めるドラマ『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ系)に第3話から出演する乃木坂46の鈴木絢音。乃木坂46では卒業生の西野七瀬や生田絵梨花が、現役メンバーで言えば山下美月や与田祐希ら多くのメンバーが俳優として存在感を発揮しているが、今回の鈴木の抜擢もまたこれらの例に漏れず、今後の活躍の方向性を示唆するような重要なキャスティングだと感じている。
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毎週水曜22時より日本テレビ系で放送中の門脇麦主演ドラマ『リバーサルオーケストラ』に、乃木坂46の鈴木絢音が出演することが決定し…
乃木坂46唯一の2期生として、クールな一面と棘のある言葉選びで独特な個性を確立している鈴木。読書好きとしても知られ、3月7日には初のエッセイ『言葉の海をさまよう』(幻冬舎)の発売も予定されており、秀才アイドルとしてこれからの活躍が期待されている。
そんな鈴木は多くのドラマや舞台へ出演し、ミステリアスな雰囲気とはギャップのある演技を披露してきた。乃木坂46主演のドラマ『初森ベマーズ』(テレビ東京系)をはじめ、『ハイポジ 1986年、二度目の青春。』(テレビ大阪/BSテレ東)、舞台『「けものフレンズ」2〜ゆきふるよるのけものたち〜』などで個性的かつアバンギャルドなキャラクターを熱演してきたが、『ザンビ』(日本テレビ)のように冷静で理性的な、いわば鈴木のパブリックイメージに近い役柄も演じるなどその範囲は非常に幅広い。
乃木坂46はこれまでの積み重ねで、舞台演劇の分野で成熟した営みを見せてきたグループでもあるが、桜井玲香や若月佑美といったいわば舞台演劇でグループの基盤を作り上げてきたメンバーと比べると、鈴木の舞台での活躍に言及されることは決して多くはない。しかし、先に挙げた彼女たちと同様に舞台方面で先輩たちが築き上げてきた部分を継承し、さらには後輩へとバトンを繋いでいるのが鈴木である。
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長年、鈴木を見てきたファンにとって最も印象深いと思われるのが、舞台『ナナマルサンバツ』シリーズへの出演だろう。同舞台はこれまで『ナナマルサンバツ THE QUIZ STAGE』(2018年)、『ナナマル サンバツ THE QUIZ STAGE ROUND2』(2019年)、『ナナマル サンバツ THE QUIZ STAGE O(オー)』(2021年)と長きに渡りシリーズ作品として上演されてきた人気の舞台。鈴木は茶髪でヘアバンドがトレードマークのヒロイン・深見真理を演じ、様々なクイズに挑戦していく。作中での真理のキャラクターは誰よりもクイズに対する愛を持ち、その情熱的な姿勢は周囲をも巻き込んでいく力がある。原作を読んでいた筆者にとって、最初に鈴木が真理を演じるという話を耳にしたとき、あまりにも鈴木と真理のパーソナリティがかけ離れすぎているがあまり、キャスティングには驚きを隠せなかった。しかしいざ舞台を観てみるとその不安はすぐに払拭された。真理として生き生きとクイズに答える姿には、これまでに見たことがない鈴木の表情の柔軟さが表現されていたのだ。
本作はクライマックに置かれた台本の一切用意されていないガチクイズ対決が見どころでもあるが、鈴木は持ち前の豊富な知識量で優勝するなど、舞台上でも存在感を発揮。ガチクイズ対決中でも真理の手を耳に当てるポーズを取り入れ、作品の世界観を忠実に再現しつつも、クイズへ真剣に挑む鈴木のはつらつとした姿からは真理と鈴木が重なって見えた。
第2弾からは阪口珠美と向井葉月、吉田綾乃クリスティー、第3弾では弓木奈於といった後輩メンバーとの共演もしていくなかで、シリーズを重ねるたびに鈴木の演技はより自然なものになり、後輩たちを経験で支えてきた。グループ内の立場としてはまだアンダーと選抜を行き来していた鈴木だが、この舞台でのキャリアを経て選抜の常連となってゆき、殻を破っていくのもこの頃だったように思う。