岡田准一の織田信長はまさに狼 『どうする家康』への貢献度を読む

 第2回「兎と狼」では、幼き日の元康と信長の交流が描かれ、どのようにして元康が信長に対してトラウマを抱くことになったのかが分かった。過去パートでも信長役は岡田が演じているが、幼少期の元康(当時は竹千代)は子役の川口和空が演じていた。二人の間にあるあからさまな“差”。この状況を岡田は上手く利用していた。当時の信長は若さゆえの粗暴さが目立ち、後の戦国武将とてしての洗練されたものとはまた違う“ヤバさ”があった。岡田の演技もずいぶんと違う。口にするセリフは“発する”というよりも“吐き捨てる”というほうが正確に思えるし、身体は現在の厳かさとは対照的で非常に軽い。か弱き者に対するその姿は、まさに狼である。

 先のガイドによると、過去にNHK大河ドラマ『軍師官兵衛』(2014年)で主演を務めた経験のある岡田は、後輩の松本から相談をされているようで、かつて自分が竹中直人から自由にやっていいのだと教えてもらったこと、そして、今度は自分が自由に演じる姿を見せることで教わったことを伝えようと考えているのだと明かしている。岡田は物語の中でも外でも、松本の先を歩んでいるようだ。これに対して元康が、ひいては松本がどう変化し立ち向かっていくのかが、本作の要である。

 さらに岡田は第2回の相撲のシーンについて「スタッフの皆さんと話し合った結果、僕がその動きを考えることになりました。竹千代が信長にトラウマを持つきっかけとなる大事な場面なので、かなり激しいシーンになったと思います」とも明かしている。なるほど。相撲にしてはあまりにも“岡田ブシ”が効きすぎていると誰もが感じたことだろう。本作における岡田の貢献度は非常に高いのだ。彼はいま独自の信長像を立ち上げている。

■放送情報
『どうする家康』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:松本潤
脚本:古沢良太
制作統括:磯智明
演出統括:加藤拓
音楽:稲本響
写真提供=NHK

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