豊田徹也唯一の長編漫画『アンダーカレント』映画化決定 監督は今泉力哉

 豊田徹也唯一の長編漫画を今泉力哉監督が映画化する『アンダーカレント』が、2023年秋に公開されることが決定した。

 2004年8月より1年間に渡り『月刊アフタヌーン』(講談社)に連載され、2005年10月には単行本が出版された豊田唯一の長編漫画『アンダーカレント』。2009年にパリで開催されたジャパンエキスポにおいて、フランスの批評家と記者が選出する第3回ACBDアジア賞を受賞、2010年には「漫画界のカンヌ映画祭」と呼ばれるフランス・アングレーム国際漫画祭のオフィシャルセレクションに選出された。日本をはじめ世界中で人気を誇るそんな伝説的漫画が、発売から18年の時を超え、満を持して映画化される。

 家業を継ぎ、夫の悟と銭湯を切り盛りし順風満帆な日々を送るかなえ。しかし突然、悟が失踪する。彼の行方は一向に分からず、途方に暮れるかなえだったが、一時休業していた銭湯の営業を再開させる。そこに「働きたい」という謎の男・堀が現れ、ある手違いをきっかけに住み込みで働くことに。その日からかなえと堀の不思議な共同生活が始まる。友人から紹介された胡散臭い探偵・山崎とともに期間限定で悟を探しながら、穏やかな日常を取り戻しつつあったかなえ。しかし、ある事件をきっかけに、堀、悟、そしてかなえが閉ざしていた心の深層(アンダーカレント)が、徐々に浮かび上がってくる。

 監督を務めるのは、『愛がなんだ』『あの頃。』『街の上で』『窓辺にて』などの今泉。脚本は、『愛がなんだ』の澤井香織が、今泉とともに手がける。

 また、原作『アンダーカレント』単行本の重版も決定。全国の書店ならびにネット書店にて発売中だ。映画のキャストなどは今後発表される予定だ。

今泉力哉(監督)コメント

この世界にはそれが存在することで誰かが救われるという作品があって、そして、そういうものを生み出す人がいて、豊田徹也さんの『アンダーカレント』はそういう漫画で、豊田さんはそういう人だ。映画化にあたり、豊田さんと何度もふたりきりで会っていろんな話をした。はじめて会った日に4時間お茶をしたのだが、まだまだ話し足りなかった。帰り際、原田芳雄さんのエッセイ『B級パラダイス 俺の昨日を少しだけ』をいただいた。豊田さんは「僕はいいんだけど、登場人物が嫌な思いをしない映画にしてください」と言った。登場人物が嫌な思いをしないように。とってもすてきな言葉だと思った。コロナ禍でお茶をしたある日、会計時に自分の分のコーヒー代を、きっとこういうご時世だからだろう、衛生面からラップにくるんでご用意してくださっていて。この繊細さをきちんと映画にしたいと思った。私はキリスト教徒なのだが、熱心な信者ではなくて、それでもたまに教会に行くと心が澄む感覚になるのだが、自分にとっての豊田さんはそういう人で、会うと心が澄む。とても繊細で面白い方で、日々、自分は映画監督に向いていないなと思いながら映画をつくっているのだが、こういう原作の映画化の話が来ることはとても光栄だし、きっと器用に生きることができない人にしか生み出せないものがあると信じて、これからも生きていきます。かなえや堀も、今もどこかで元気でいてくれたら。

監督 今泉力哉

■公開情報
『アンダーカレント』
2023年秋公開
監督:今泉力哉
脚本:澤井香織、今泉力哉
原作:豊田徹也『アンダーカレント』(講談社『アフタヌーンKC』刊)
製作幹事:ジョーカーフィルムズ、朝日新聞社
企画・製作プロダクション:ジョーカーフィルムズ
配給:KADOKAWA
©︎豊田徹也/講談社 2023「アンダーカレント」製作委員会
公式サイト:undercurrent-movie.com
公式Twitter:@undercurrent_m

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