ユ・ヨンソクを堪能するドラマ『愛と、利と』 “好き”から先の“愛”に至るまで

 ユ・ヨンソクとムン・ガヨンが恋愛劇を繰り広げる、Netflixで配信中の『愛と、利と』は、もどかしくじれったい、先が気になる物語だ。

 本作は、銀行を舞台に4人の男女の恋愛と、“利”(利害)を秤にかけながら、愛とは何かを描くロマンス作品。同じ銀行で働く、主人公のハ・サンス(ユ・ヨンソク)と、アン・スヨン(ムン・ガヨン)は、お互いに憎からず相手を想う仲だ。サンスは慎重な性格で、付き合う前にいろいろと考えてしまうところがある。スヨンを食事に誘うが、店に向かう途中で、自分の気持ちに躊躇してしまう。そんな姿を見ていたスヨンは、サンスに対し、怒りと落胆をおぼえる。大卒で係長のサンスと、高卒で契約社員の自分との格差も気になるスヨンは、同じ“階級”の派遣社員のチョン・ジョンヒョン(チョン・ガラム)との距離を縮めてゆくーー。

 第5話、第6話は、サンスとスヨンが互いに想いを残しながらも、それぞれ違う人に気持ちが傾いていくという、もどかしい展開が訪れる。物語は、ジョンヒョンが、田舎の父親に荷物と仕送りを送ったところから始まる。生活に困っているような様子の父親と、ジョンヒョンが暮らす部屋が映り、金銭的に豊かではない暮らしぶりと対比するかのように、川の対岸には高層マンション群が立ち並ぶ。スヨンの住む部屋もジョンヒョンと同じ生活水準であることが描かれており、恋愛と利(利害)をリアルに描き出している。サンスの友人は、長年付き合った彼女と別れる理由として、経済格差を挙げており、愛の本質とは、結婚とは、ということを視聴者に突き付ける。「好き」から先に進むには、避けて通れない“生活すること”への直視。ゆったりとしながらも、スピーディーに展開していくストーリーの中で、フワフワした気持ちだけでは乗り越えられない、恋愛の先にある結婚生活を登場人物たちとともに観る者に考えさせるのだ。

 スヨンの気持ちがジョンヒョンに傾いていく中、焦るサンスはスヨンを抱きしめ、自分への気持ちを問いただす。しかし、スヨンは、自分と同じ生活レベルであり、契約社員と派遣社員という境遇も似ているジョンヒョンに惹かれていく。ジョンヒョンはスヨンにお弁当を作ったり、図書館デートに手作りのお茶を持参したりと、素朴ながら温かい真心を見せていく。一方、サンスは後輩でお嬢様のパク・ミギョン(クム・セロク)代理から告白されて、明るいミギョンへと次第に気持ちが傾いていく。

関連記事