『舞いあがれ!』高橋克典はヒロインにとって理想の父親 朝ドラの父娘関係を振り返る

 連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)のヒロイン・舞(福原遥)は、航空学校を卒業し、博多エアラインから内定をもらったものの、リーマンショックの影響で入社が1年延期になってしまった。影響は、舞の父・浩太(高橋克典)が経営する「IWAKURA(旧・岩倉螺子製作所)」にも及んでおり、浩太は仕事のストレスによって倒れてしまう。第13週は、東大阪に戻った舞が、浩太の病状やIWAKURAの状況を知ることに。

 浩太は、歴代朝ドラの中でも、ヒロインにとって非の打ち所がない父親として描かれている。舞が子どもの頃、度々熱を出し、めぐみ(永作博美)も精神的に参っていたとき、浩太はめぐみに舞を五島に連れていくよう提案。おかげで舞は元気になって東大阪に戻り、浩太は自分と同じように飛行機が好きだと言う舞と、いつか飛行機を作るという夢を共有するようになった。浩太は、常に娘を温かく見守りつつ、父娘で同志のような関係を築いていく父親だ。

 舞が飛行機を作るのではなく、パイロットになりたいと打ち明けたときには、少しだけガッカリし、めぐみ同様心配が先に立ったが、結果的に航空学校に入学することを許し、娘の夢をサポートし続けた。突然、舞が柏木(目黒蓮)を家に連れてきたときには、ちょっと面白くない様子だったが、柏木が「僕は舞さんのことが好きです。真剣にお付き合いしたいと思っています。今日はそのご挨拶がしたくて伺いました」と、浩太とめぐみに挨拶すると、浩太は顔をほころばせ、すっかり柏木を気に入っていた。娘の初めての彼氏にも寛大に接するという、懐の深さを持っているのだ。

 さらに、舞の入社が延期されたと知った浩太は、舞が心細いだろうと察し、娘には心配をかけまいと、IWAKURAが経営難であることは知られないようにしようとするなど、本当に父親の鑑のような存在だ。そんな浩太が倒れ、舞は少しでも両親を助けたいという思いから、工場を手伝うことにする。

 舞と浩太はお互いを想い合う、とても仲の良い親子として描かれているが、近年の朝ドラの父娘はどうだったのか、どんな父親が登場したのか振り返ってみよう。

 『ごちそうさん』(NHK総合)の大五(原田泰造)は、娘・め以子(杏)をかわいがる優しい父親ではあったが、め以子が悠太郎(東出昌大)と結婚したいと言った際には大反対し、勘当を言い渡すという頑固ぶりだった。

 一方、『まれ』(NHK総合)の徹(大泉洋)は、一攫千金で大儲けすることばかり考え、何度も失敗して失踪するなど、娘の希(土屋太鳳)たち家族に迷惑を掛けてばかりの父親だった。

 観ていてショックだったのは、結核で早世した『とと姉ちゃん』の竹蔵(西島秀俊)が、亡くなる直前に、12歳の娘・常子(内田未来/高畑充希)に、自分の代わりとなって家族を守るようにと約束させたことだ。生前はいくら優しい父親だったとしても、娘に重すぎる責任を背負わせた父親として忘れることができない。

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