アリ・アッバシ監督作『Holy Spider』2023年4月公開 イランの売春婦連続殺人事件を描く

 アリ・アッバシ監督最新作『Holy Spider』が、2023年4月に新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて順次公開されることが決定した。

 2001年のイラン、女性ジャーナリストのラヒミは、聖地マシュハドを震撼させている売春婦連続殺人事件を追うために現地に赴く。犠牲者が増え続けるなか、なぜか警察は捜査に消極的だった。性差別がまかり通る社会で、ラヒミは不条理な圧力と身の危険を感じながら、真相の追求にのめり込んでいく。そして遂に犯人にたどり着くが、意外にもその男は敬虔で家庭的な男だった。「社会の浄化」と信じて犯行を重ねていたその男・サイードは、熱狂的な一部の市民から英雄視されていく。

 本作は、イランの聖地アシャドで2000年から2001年にかけて16人もの犠牲者を出した “スパイダー・キラー”と呼ばれたサイード・ハナイによる売春婦連続殺人事件をもとに描かれた。2022年第75回カンヌ国際映画祭女優賞受賞のほか、セビリア・ヨーロピアン映画祭主演女優賞、ストックホルム映画祭主演男優賞、作品賞を受賞した。

 監督を務めたのは、第71回カンヌ国際映画祭ある視点部門でグランプリを受賞した『ボーダー 二つの世界』のアッバシ。実際に起きた事件から着想を得た本作は、第94回アカデミー賞のデンマーク代表に選出されている。

 主演の女性ジャーナリストを演じたザーラ・アミール・エブラヒミは、イランで女優として活躍していたが、2008年フランスへ亡命、その後はフランスの映像業界で活躍し、2017年フランス国籍を取得後、意欲的に映画に出演。本作では主演のみなならず、キャスティングディレクター、アシスタントプロデューサーも兼任している。

■公開情報
『Holy Spider』
2023年4月より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次公開
監督:アリ・アッバシ
脚本:アリ・アッバシ、アフシン・カムラン・バーラミ
出演:メフディ・バジェスタニ、ザーラ・アミール・エブラヒミ
音楽:マルティン・ディルコフ
撮影:ナディム・カールセン
編集:ハイェデェ・サフィヤリ、オリヴィア・ニーアガート=ホルム
配給:ギャガ
デンマーク、ドイツ、スウェーデン、フランス/ペルシャ語/2022/シネスコ/5.1Ch/118分/字幕翻訳:石田泰子/デンマーク王国大使館後援
©Profile Pictures / One Two Films

関連記事