『ケイコ 目を澄ませて』の岸井ゆきのを三浦友和&三宅唱監督が絶賛 「代表作だと思う」
映画『ケイコ 目を澄ませて』の公開記念舞台挨拶が12月17日にテアトル新宿にて開催され、主演の岸井ゆきの、三浦友和、三宅唱監督が登壇した。
本作は、2013年までに4戦を戦った耳が聞こえない元プロボクサー・小笠原恵子の自伝『負けないで!』を原案に、『きみの鳥はうたえる』の三宅監督が手掛けた人間ドラマ。岸井演じる両耳が聞こえないプロボクサー・ケイコと、三浦演じる視力を失いつつある会長の交流を描く。岸井、三浦のほか、仙道敦子、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、渡辺真起子、中村優子、中島ひろ子らがキャストに名を連ねている。
ケイコ役の岸井は「やっと公開ができて感激しています。もう嬉しい以外の言葉が浮かびません。とても嬉しいです」とコメント。ケイコを見守るジムの会長を演じた三浦も「上映後の拍手が外にも漏れ聞こえてきたので皆さんが好意的に受け取ってくれたと思っています。きっと海外映画祭でも同じような反応だったのかな?」と嬉しそうな様子を見せた。三宅監督は「照明がまぶしくて客席がよく見えない!」と会場を笑わせつつ、「観客の皆さん全員の眼差しがスクリーンに向かっているなんて...…やはり映画館って素晴らしい!」と劇場での封切りに感慨深そうだった。
岸井は「手話やボクシング、フィルム撮影などいろいろな挑戦をさせてもらいました。最初はケイコを一人で背負わないといけないのかなと思って不安や恐怖があったけれど、撮影の前から三宅組が完成していて、みんなで一緒に映画を作っているのが感じられました」とチーム感を実感。三浦は岸井について「クランクインの日からボクサーとして体も精神も仕上がっていた。3カ月のトレーニングでここまでできるとは、女優としての凄さも垣間見られます。この映画は岸井さんにとって代表作だと思う」と太鼓判を押した。
ケイコを撮る上で意識した点について聞かれた三宅監督は「岸井さんの力!」と岸井の俳優魂を絶賛して「それを邪魔しないように撮ろうと思った。撮りこぼすことはできないぞ!と思っていました」と並々ならぬ気合で対峙した様子。そんな三宅監督について三浦は「任侠映画を撮りそうな見た目をしていますが、神経の細やかな優しい人です」と笑わせて、三宅監督の緊張をほぐしていた。
ケイコと会長が鏡越しで行うシャドーボクシングは、大きな見どころとなるシーン。岸井が「会長から差し出された手をケイコが打つところは、その場のアドリブが本編に採用されたもの。ケイコとして喜びを感じた瞬間でもあります」と舞台裏を明かすと、三浦も「目の前に仕上がっているケイコがいるので、何の苦労もなくシーンが成立した」と撮影時の手応えを語った。
さらに三浦は岸井について「岸井さんはかわいらしいでしょう? 小柄だし、ケイコって感じがする。でも今日は底の高い靴を履いているよね? いつもはもっと小さいのに」とニヤリとすると、岸井も「普段から竹馬に乗っています!」と息の合ったジョークを披露。
また、三浦が岸井と松浦慎一郎の高速ミット打ちを見どころに挙げると、岸井は当該シーンについて「どう打つかは決まっておらず、体の動きに合わせて即興で打ち返しました。それもあって終わった後の私の表情は本物です。ヨッシャ、できた!…...みたいな」と満面の笑みを見せた。
最後に主演の岸井は「この映画は生き方のお話です。色々な方に伝わるものがあると思う。皆さんの感想をいくつか読ませていただき、とても感慨深い気持ちになっています。この作品がもっともっと羽ばたいて私たちから見えなくなるくらいまで行ってほしい。“映画”が皆さんにとって大事なものになる、そのきっかけとなるような作品になったら嬉しいです」と思いを込めて語った。
■公開情報
『ケイコ 目を澄ませて』
公開中
出演:岸井ゆきの、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中原ナナ、足立智充、清水優、丈太郎、安光隆太郎、渡辺真起子、中村優子、中島ひろ子、仙道敦子、三浦友和
監督:三宅唱
脚本:三宅唱、酒井雅秋
原案:小笠原恵子『負けないで!』(創出版)
制作プロダクション:ザフール
配給:ハピネットファントム・スタジオ
2022年/カラー/ヨーロピアンビスタ/5.1ch/99分
©2022 映画「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINEMAS
公式サイト:https://happinet-phan