『鎌倉殿の13人』小池栄子が積み重ねてきた政子にお見事! 鎌倉をひとつにした名演説

「鎌倉始まって以来の危機を前にして選ぶ道は2つ。未来永劫、西の言いなりになるか。戦って坂東武者の世をつくるか」
「頼朝様の恩に今こそ応えるのです」

 この政子の呼びかけも力強い響きがあったが、それ以上に心を打つ演説が続く。

「向こうはあなたたちが戦を避けるために執権の首を差し出すと思ってる。ばかにするな。そんな卑怯者はこの坂東には一人もいない! そのことを上皇様に教えてやりましょう!」

 何を隠そう政子も坂東武者の娘である。「ばかにするな。そんな卑怯者はこの坂東には一人もいない!」と啖呵を切る姿は勇ましい。政子に鼓舞され、御家人たちは雄叫びを上げた。さらに泰時が声を上げ、御家人たちはますます奮い立つ。坂東武者たちの心が一つになった瞬間であり、義時の兄・宗時(片岡愛之助)が義時に遺した言葉の体現となった。

「坂東武者の世の中を作る。その頂点に北条が立つ」

 政子が行った演説は、視聴者も含め、その場にいた全ての人の心に響いたことだろう。義時が感極まり涙したのは、頼朝がなし得なかった、また義時がなし得なかった御家人たちの団結を、政子と泰時が実現したからともいえる。物語の終わりに、涙ぐむ義時と政子は目を合わせる。政子が見せた微笑みには、ようやく家族を自分の手で守ることができたといった安堵も感じられた。夫と子を愛し、家族の慎ましやかな幸せを願い続け、誰よりも戦を嫌っていた政子の覚悟、そして坂東武者たちの覚悟が、後鳥羽上皇を迎え撃つ。

■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK

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