『TIGER & BUNNY 2』虎徹×バーナビーの“変化”に感じる誠実さ 人間的成長の描写が見事

 アニメ『TIGER & BUNNY 2』の後半パートが10月7日からNetflixにて配信開始され、ついにシリーズ第2期が完結した。本作は2011年にテレビシリーズとして放送開始され、企業に所属しスポンサーロゴを携えるヒーローが描かれる『TIGER & BUNNY』(以下、『タイバニ』)及びその後制作された劇場版の続編としてスタート。テレビシリーズから約11年振りの新作発表に長年の『タイバニ』ファンは胸を踊らせ、ヒーローが守る大都市・シュテルンビルトの市民として多くのファンが彼らの行く末を見守った。

※本稿には『TIGER & BUNNY 2』最終話までのネタバレを含みます

 今年の4月に配信された前半パートでは新たに導入された“バディシステム”に則り、各ヒーローが相棒との関わり方や信頼関係を構築していくさまにフォーカスが当てられていた。『タイバニ』が当初より描いてきた「ヒーローとはどういうものなのか」「仲間との協力に必要なものはなんなのか」といったテーマがより丁寧に扱われ、当初よりバディを組んでいた虎徹とバーナビーの関係性が先輩バディとして生かされてくる描写が多い。そのため、虎徹とバーナビーは一歩引いたところから後輩たちや新しくバディを組んだヒーローたちを見守るような立ち回りが多かった。

 後半パートでは虎徹とバーナビーが第1期や劇場版の頃以上に距離が近付き、より互いを支え合う関係性へと成長している2人を中心にストーリーが展開する。他人を信じることが難しかったバーナビーが虎徹や仲間を信じ、自分の意志でヒーローを続けていく決意をしたことや、虎徹がバーナビーや後輩の背中を押し道を空けることにも人間的成長が感じられる出来だった。特に第1期の頃と比べると、虎徹の人間的成長を感じられる描写が多い。

 第1期の頃の虎徹は、私生活でも仕事においても先輩として周りをグイグイと引っ張っていく印象があった。今作でも多少そうした行為が現れるものの、バーナビーが虎徹の行動を「お節介」と指摘し、一歩引いて見守るスタンスが大切だと諭すシーンが何度も描写されている。そのため虎徹も過度に他者へ介入せず、助けや助言を求められた際にのみ対応するようになった。第1期の頃は“熱くなると暴走しがち”というイメージの強かった虎徹が後輩の意見を聞き入れ冷静に対処する場面も多く、他者との関わり方が再考されている2022年の今だからこそ見られた虎徹像であると実感する。

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