杉咲花が語る、『ぼくらのよあけ』のアフレコ現場で体感した“想いの密度が上がる感覚”

 『月刊アフタヌーン』(講談社刊)にて連載され、日本で最も長い歴史を誇るSF賞である星雲賞候補にもなった、今井哲也のSFジュブナイル漫画『ぼくらのよあけ』が劇場アニメ化され、10月21日に公開される。

 2049年の夏の団地を舞台に、未知なる存在を宇宙に帰す壮大な子どもたちの極秘ミッションが繰り広げられる本作。阿佐ヶ谷団地に住む、宇宙とロボットが大好きな小学4年生の主人公・沢渡悠真役を演じる杉咲花は、これまで『思い出のマーニー』『メアリと魔女の花』『サイダーのように言葉が湧き上がる』にて声優を務め、本作が劇場アニメ4作目の参加となる。

 実写作品での演技だけでなく声の演技も注目を集めている杉咲に、本作での役作りや工夫したこと、アニメ作品に出演することに対しての想い、そして子どもの頃のエピソードを聞いた。【インタビューの最後にはサイン入りチェキプレゼント企画あり】

映画『ぼくらのよあけ』杉咲花からコメントが到着!

「シーンを重ねるたびに想いの密度がぐんと上がっていくのを感じた」

ーー最初に台本を読まれた際に、悠真役についてどのように感じましたか?

杉咲花(以下、杉咲):悠真のまっすぐに進んでいく姿がとても眩しかったです。何が起こるかわからなくても信じるもののために進み続けるというピュアな気持ちを持っている姿がとても魅力的だと感じました。

ーーそんな悠真役を演じる際に意識したことを教えてください。

杉咲:凛としていて意志の強さを感じるキャラクターだったので、そのぶれない強さを表現したいと思っていました。本当にエネルギッシュな人物なので、私も魂のレベルみたいなものを自分の中で上げていかなければという気持ちでした。

ーー監督とも役作りについてお話しされましたか?

杉咲:具体的にどういう人物にしていこうという話よりは、1度やってみて、そこから声のトーンや心情の変化を少しずつ微調整していくような感じでした。

ーー演技を都度フィードバックしてもらう形だったんですね。

杉咲:はい。声のトーンに関しては下げることを意識してほしいという演出があったのですが、私自身の声が割と高い方なので難しかったです。トーンを意識しながら悠真としての実感を得るという両立に苦戦する場面もありました。

ーーアニメ作品の声優を務めるのは4作品目となりますが、役への向き合い方や演技など実写と比較して変えている部分はありますか?

杉咲:1人の人物に流れる気持ちを表現するという意味では、役との向き合い方にあまり違いはないのかなと思います。ただ、例えばアフレコをしている最中、実際に自分が動けるわけではないので、人物が走っているシーンでも息遣いを息や声で表現する難しさがありました。

ーーそれと、アニメは絵が決まっているという難しさもありますよね。

杉咲:限られた尺の中でセリフを言い切らなければいけないことがやはり難しかったです。一方で実際に生活していたら声を出さないようなタイミングで声を吹き込むこともあったりして、そういったディテールの積み重ねはアニメ作品ならではだと思うので、奥深さを感じられてワクワクしました。

ーーそういった難しさに対して、出演を重ねることで何かを掴めてきた感覚はありますか?

杉咲:難しさ自体はあまり変わらないかもしれません。ですが、実写作品とはまた違った想像力に触れられることがとても刺激的ですし、とても豊かな時間を過ごさせていただいたと思っています。

ーー今回、他のキャストとの掛け合いは一緒にされているんですよね。実写の芝居だと現場で対峙して生まれるものを大事にキャッチしていくものだと思います。アニメのときも1人で声を入れるよりも、相手とやりとりをすることで感情が膨らんだり、解釈が深まったりすることはありましたか?

杉咲:何度もありました。台本を読んでいた時以上に作品の温度感や手触りが立ち上がってくるような感覚があって、シーンを重ねるたびに想いの密度がぐんと上がっていくのを感じて。みなさんとご一緒させていただけたからこそ、そういった体験をさせていただくことができたのだと思っています。

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