『舞いあがれ!』走りだす舞に感じたヒロインの成長 “誰かのため”が変化のきっかけに

 五島に移ってからの舞(浅田芭路)は以前より活動的になっていたが、それでも発熱はあり、体育の授業は休んでいた。『舞いあがれ!』(NHK総合)第9話では、舞に変わるきっかけが訪れる。

 内気な舞が徐々に自身を開放していく様子に、祥子(高畑淳子)が「もう少したいね」と目を細めていた第8話ラスト。続く第9話では、ジャムを届けに行った浦家で応対に出た莉子(大橋梓)が産気づく。信吾(鈴木浩介)たち家族は出かけており、舞は祥子と一太(野原壱太)たちに知らせに走る。祥子が船を出し、浜にいた信吾や一太、凛(絢香)を乗せて、莉子を病院に連れていった。

 海沿いの道を、息を切らせて無我夢中に駆けていく舞。祥子を連れて同じ道を引き返すと、今度は一目散に浜へと走りだす。舞に気付いた凛が彼方を指さし、カメラは遠景から舞をとらえる。動きのある描写が人々の往来と舞の中の変化を映し出していた。

 “誰かのため”がきっかけとなって一歩を踏み出した舞。発熱しなかったことで、舞の中にあった走ることへの恐怖は取り払われた。さらに、ヒロインの成長物語は、より根源的な不安と向き合う。誕生した弟・慶太のためにばらもん凧を揚げようと声をかける一太の誘いを、舞は「無理や」と断る。周囲を気遣うあまり遠慮する優しさが、舞自身の気持ちを押し込めていること。そのことに祥子は気づいており、発熱の原因もその点にあると思われた。

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