『ちむどんどん』井之脇海が“悪人”になって再登場? 矢作の身に一体何が起きたのか

 『ちむどんどん』(NHK総合)第81話で、視聴者みんなが気になっていた“あの”キャラクターがカムバックした。「アッラ・フォンターナ」の厨房で働いていた、矢作(井之脇海)だ。第61話のラストで突然、玉島(櫻井圭佑)と桃木(池田航)を連れて辞職届を残す形で出勤しなくなった彼が、あの騒動以来戻ってきたわけだが、さらなる騒動を引き連れてきてしまったようだ。

 もともと矢作といえば、暢子(黒島結菜)が18歳の時にフォンターナで働き始めた頃からいる先輩だった。当時は前菜・野菜を担当していたが、あの時から口が悪く、周囲のスタッフに当たり散らかす傾向はあった。新人の暢子に対しても容赦無く口で責め立て、ある時は自分がぶつかったのに「お前がそこにいるのが邪魔」と暢子が悪いようにして、彼女に怒鳴る。実は最初から“良い人キャラ”というわけでもなかったのだ。それよりも、自分に余裕がない時に他人に八つ当たりする癖が強い、心のせまいキャラクターであることを見せる演出やエピソードが多いのが印象的である。

 一時期は矢作も、暢子の恋愛相手になる可能性があるのではないかと視聴者に勘繰られていた。同じ店で共闘するライバルとして、切磋琢磨する相手になるとも。しかし、矢作は基本的に暢子と衝突ばかり繰り返してきた。特に彼女がストーブ前になった時は、自分が前にストーブ前をやらせてもらった時も点でダメだったのに、それを棚に上げてひたすら暢子ができないことを責める。彼女がシェフ代行を行った時も、ひたすら矢作の当たりが強かった。あの時は暢子も暢子で態度が間違っているので、矢作や周りのリアクション正当なものになっていたものの、彼なら彼女の立場に立って代行の難しさを共感したり、ぶっきらぼうながらにアドバイスをしたりすることができるキャラクターになり得たのではないだろうか。実際、初期の『ちむどんどん』公式サイトには「暢子を支える」と書いてあったのに、今はそれが消えてしまっている。

 暢子が自分の態度の過ちに気づき、「ありがとう」と「ごめんなさい」を言えるようになってからは、矢作に限らず少し暢子への態度も丸くなる。ただ、それから間もなくして矢作の“離反”が行われ、フォンターナは急遽房子(原田美枝子)が厨房に立つことで何とか凌げた。矢作が店をやめた理由は、これ以上働いていても単なる「働きアリ」でい続けることに嫌気がさし、自分の店を構えて独立したかったから。確かに、暢子が6年目くらいになっていて、その間着実に色々なポジションを任せられてきたのを横目で見ていると、フォンターナも自分がどう頑張ってもオーナーの親族である暢子のものになってしまうのではないかと考えても無理はない。実際、自分がストーブ前を完璧にやり切れる実力がないことよりも、目に見えて優遇される暢子の存在が彼にとってストレスになったのかもしれない。

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