『ちむどんどん』再び離婚を求める良子 暢子との関係にも垣間見える彼女の良さと悪癖

 第51話で離婚届を見つめながら、涙を流す姿が一瞬切り取られた良子。彼女が最初に優子に離婚を相談し始めたのは、1974年の11月頃のことだった。「結婚する前は家事も育児も男女平等、子供が産まれても絶対任せっきりにしないと言っていたのに。石川の家はとにかく男が威張っていて、親戚の集まりでも男が座敷でお酒を飲んでる時、女はずっと台所。料理は石川の味にしなさいと言われる。こんなことになるとわかっていたら、結婚なんかしなかったのに」と、愚痴をこぼす。しかし、その文句を直接博夫に言ったり、話し合ったりせずに「背中がそう言っている」と彼の考えを決めつけていた点も、彼女の悪癖だった。

 この時の離婚騒動は、博夫が良子に対し、彼女と晴海が最もかけがえのない大切な家族であることを伝え、今後の生活態度を改善すると説得したことで収まった。ところが、2年後には育児がひと段落した良子が復職を望むも、博夫に理解されずにまた苛立ち始める。つまり、この3年の間で二度も離婚について考えているわけだ。さらに今回、離婚届を再び突き出す前に両親と交渉している博夫の言い分も聞いてあげないところにも、彼女が人の話を聞かずに自分の中で何かを決めつけて、きつい言葉で自己主張を貫こうとする悪癖が表れてしまった。

 石川家の男尊女卑に耐えたり、日頃の博夫の頼りなさに苛立ちつつも耐えたりと、良子の忍耐力は変なところで発揮されてしまっているように感じる。もちろん、結婚生活はお互いの忍耐が必要となってくるものだが、根本的な合わなさや解決しない問題をずっと我慢していても仕方ない。そして、我慢に我慢を重ね、限界がきた時に爆発してしまう良子の悪い癖がここでも出てしまっているのではないだろうか。暢子とはあまり連絡をとっていない印象で、とったとき(結婚報告)も自身のペペロンチーノに夢中で淡白な印象だった。今週、良子は再び博夫と揉めることになりそうだが、その際に姉妹が再び話し、お互いを支え合うことになるのか、見守りたい。

※高嶋政伸の「高」はハシゴダカが正式表記。

■放送情報
連続テレビ小説『ちむどんどん』
総合:午前8:00~8:15、(再放送)12:45~13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30~7:45、(再放送)11:00 ~11:15
※土曜は1週間を振り返り
主演:黒島結菜
作:羽原大介
語り:ジョン・カビラ
沖縄ことば指導:藤木勇人
フードコーディネート:吉岡秀治、吉岡知子
制作統括:小林大児、藤並英樹
プロデューサー:松田恭典
展開プロデューサー:川口俊介
演出:木村隆文、松園武大、中野亮平ほか
写真提供=NHK

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