『インビジブル』は再生の物語だった 高橋一生が志村に宿らせた“人間臭さ”
キリコも弟・キリヒト(永山絢斗)に志村のどこかすごいのかと聞かれた際に「あの人は大切な人を殺されてる、あんたにね」とだけ答えていた。その志村の傷口は完全には塞がってはおらず、クリミナルズによる犯行に遭遇する度、誰かの悪意に触れる度に傷口からは今なお血が流れ続けている。
それでも3年前の事件の真相に近づくため、安野やその妹の無念を晴らすために静かに痛みに耐えながら前進する志村の葛藤や、その痛みをも安野を救えなかった自身への罰だと言わんばかりに受け入れる生々しい姿こそが、この少し現実離れした本作の設定を我々視聴者に一気に近づけてくれているように思える。
そして、そんな志村がキリコと徐々に心を通わせ、互いに口に出して伝えられることは少なくとも真意を共有し合い信頼し合っている姿を見るにつけ、互いに大切な人を突然奪われた志村とキリコ双方にとって、本作は“再生”の物語でもあるのだろうと思い知らされる。
史上最凶の“クリミナルズ”のリーパーであり内通者でもある監察官・猿渡(桐谷健太)との直接対決が描かれる最終話。志村はこの血も涙もなく、死をきちんと捉えられていない“悪”を何を持ってして封じ込め裁こうとするのか。これまで同様に、“悪”には転じずに何とか“こちら側”に踏ん張り続けられるのか。志村とキリコにどんな未来が待っているのかしっかりと見届けたい。
参照
※ https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=16024
■放送情報
金曜ドラマ『インビジブル』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:高橋一生、柴咲コウ、有岡大貴(Hey! Say! JUMP)、堀田茜、谷恭輔、大野いと、板垣李光人、西村元貴、結城モエ、田中真琴、村井良大、酒向芳、原田泰造、桐谷健太
脚本:いずみ吉紘、槌谷健
演出:竹村謙太郎、棚澤孝義
プロデューサー:佐藤敦司、浅野敦也
主題歌:「Tiny World」Dragon Ash(Victor/MOB SQUAD)
音楽:得田真裕
編成:東仲恵吾、佐藤美紀
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/invisible_tbs/
公式Twitter:@invisible_tbs