『ダイの大冒険』ヒュンケルは令和の世でもカッコいい ダークヒーローなのに備えた社会性

 ヒュンケルは自分に厳しく、悪党にも厳しいが、味方には優しい。面倒見も非常によく、主人公ら=アバンの使徒の「長兄役」を演じている(そして、長兄役が「不慣れ」とも自覚している)。この点がヒュンケルのカッコよさの重要な点であり、彼が時代遅れの存在にならない理由だ。昭和のヒーローほど破滅的でもなく、平成のダークヒーローほどオレ様でもない。端的に言うと、ちゃんと社会性があるのだ。私はこの点が非常に現代的だと思う。極端な例え話になるが、ヒュンケルが近所に住んでいても特に困らないだろう。たぶん面倒見がイイお兄さんとして、近隣住民からも愛されるはずだ。昭和と平成に連載されていたマンガでありながら、令和の世にも通じるキャラを作るとは、三条陸先生と稲田浩司先生の筆力と先見性に驚かされるばかりである。

 昭和・平成・令和……三つの元号の「カッコいい」から取捨選択されたカッコよさが積み込まれていて、なおかつバランスよく共存しているキャラクター、それがヒュンケルである。もちろん単純に顔がイイという身も蓋もない部分はあるが、ヒュンケルはその精神が「カッコいい」のだと断言したい。

 新TVアニメ版でヒュンケル最大の見せ場が迫る今こそ、彼のカッコよさを再評価したい。というか、このコラムを書くに当たって原作漫画を読み返したのだが、やっぱりカッコいい。人間、こうありたいものだ。私もヒュンケルを見習い、人生のグランドクルスを打ち、後輩に当たる人間を可能な限り助けていきたいと思う。もちろん全身の骨に微細なヒビが入らない範囲で……。

■放送情報
『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』
テレビ東京系にて、毎週土曜9:30〜放送中
原作:『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』原作:三条陸/漫画:稲田浩司/監修:堀井雄二(集英社『週刊少年ジャンプ』)
シリーズディレクター:唐澤和也
シリーズ構成:千葉克彦
声の出演:種崎敦美(※「崎」は「たつさき」が正式表記)、豊永利行、小松未可子、早見沙織、櫻井孝宏、梶裕貴
キャラクターデザイン:宮本絵美子
美術:藤井綾香(スタジオパブロ)
音楽:林ゆうき
色彩設計:森綾
アニメーション制作:東映アニメーション
(c)三条陸、稲田浩司/集英社・ダイの大冒険製作委員会・テレビ東京 (c)SQUARE ENIX CO., LTD.
公式サイト:https://dq-dai.com/
公式Twitter:@DQ_DAI_anime

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