ウクライナ侵略戦争を真正面から描く ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ2作品が劇場公開
ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ監督作『アトランティス』(2019年)と『リフレクション』(2021年)の2作品が6月25日より劇場公開されることが決定した。
『アトランティス』は、2025年を舞台に元兵士の“生”のはかなさと“愛”の尊さを描いた近未来のディストピア映画。そして『リフレクション』は、敵の捕虜となった外科医の運命を、純真な少女の視点から描いた作品だ。『アトランティス』では“戦争終結後の2025年”が、『リフレクション』では“戦争のはじまりの2014年”が描かれ、2022年2月24日のはるか前から戦争が行われ、ウクライナはその脅威にさらされてきたという事実を映す。
監督のヴァシャノヴィチは、第67回カンヌ国際映画祭の批評家週間でグランプリを受賞した『ザ・トライブ』(2014年)に製作・撮影・撮影で参加している。『アトランティス』は第76回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門作品賞、第32回東京国際映画祭審査委員特別賞をそれぞれ受賞し、第92回アカデミー賞長編国際映画賞ウクライナ代表に選ばれている。『リフレクション』は第78回年ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に選出されるなど、いずれの作品も世界的な注目を集めていながらもこれまで日本では劇場公開されなかった。
今年3月にこの2作品の上映、およびウクライナ映画人支援のための寄付を集めるクラウドファンディングが「ウクライナ映画人支援上映有志の会」により行われ、目標額を上回る599万4500円を集め、3月29日から31日の3日間、東京・渋谷のユーロスペースとユーロライブにて上映された。2月のロシア侵攻以降、ヴァシャノヴィチ監督はカメラを携え戦禍の現実を撮影していると伝えられている。
『アトランティス』の舞台は、ロシアとの戦争終結から1年後の2025年。戦争で家族を亡くし、唯一の友人も失った孤独な主人公セルヒーが、兵士の遺体発掘、回収作業に従事するボランティア団体の女性との出会いをきっかけに、自らが“生きる”意味と向き合っていく姿を描く。
『リフレクション』の舞台は、クリミア侵攻が始まった2014年。従軍医師のセルヒーは東部戦線で人民共和国軍の捕虜となり、悪夢のような非人道的行為を経験する。やがて首都キーウに帰還したセルヒーが失われた日常を取り戻そうと苦闘する姿を、娘ポリーナとの触れ合いを軸に描く。
■公開情報
『アトランティス』
6月25日(土)、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督・脚本・撮影・編集・製作:ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ
出演:アンドリー・ルィマルーク、リュドミラ・ビレカ、ワシール・アントニャック
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
協力:ウクライナ映画人支援上映 有志の会
2019年/ウクライナ映画/ウクライナ語/109分/シネスコ/デジタル5.1ch/英題:Atlantis/日本語字幕:杉山緑/字幕監修:梶山祐治/字幕協力:東京国際映画祭
(c)Best Friend Forever
『リフレクション』
6月25日(土)、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
監督・脚本・撮影・編集・製作:ヴァレンチン・ヴァシャノヴィチ
出演:ロマン・ルーツキー、アンドリー・ルィマルーク、ニカ・ミスリツカ
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
協力:ウクライナ映画人支援上映 有志の会
2021年/ウクライナ映画/ウクライナ語・ロシア語/126分/シネスコ/デジタル5.1ch/英題:Reflection/日本語字幕:額賀深雪/字幕監修:梶山祐治
(c)Arsenal Films, ForeFilms
公式サイト:Atlantis-reflection.com