高橋メアリージュン、女優業は「本当の自分を見せられる場所」　『マイファミリー』を語る

二宮和也の「天才」を実感

――これまでに印象的だった撮影エピソードについても聞かせてください。

高橋：リモートでの演技は、すごく難しかったです。相手の顔も見えない状態で、録音された声とお芝居をしていたので、リアリティを出すのが難しかったですね。なので、初めて二宮さんとお会いした時には、すっごくお芝居がやりやすかったです。直接会ってコミュニケーションを取りながらお芝居するっていうのは、リモートとは全然違って。二宮さんにお会いする前に温人とのお芝居を始めていたので、「やっと会えた！　やりやすぅ！」と思いました（笑）。

――二宮さんのお芝居については、どんなところに魅力を感じますか？

高橋：セリフがある時にもすごいんですけど、セリフがない時の表情。受けの表情とかがワンパターンではなくて、本当によく動くんですよね。第1話の映像を観て、数秒の間に感情の動きがものすごく見えるなと思いました。

――実際に対峙して演技をしている時にも、引っ張られるような感覚や、刺激を受けるようなことも？

高橋：まだドラマティックなシーンではご一緒していなくて、どちらかというと私が怒っているシーンが多かったので、“引っ張られる”というより“怒りやすかった”というのはあります。それは台本上、（会社のお金を身代金に使うと）説明されていなかった、というのもあるんですけどね。刺激という意味では、自分と同じシーンではない時の映像をオンエアで観て、「こんな表情をされたんだ」と驚かされたというか、幅が見えたというか。二宮さんって“天才”と言われているイメージがあるけど、本当にすごいなと。

――天才を実感されたわけですね。

高橋：実感しました（笑）。

――二宮さんにインタビューした際、座長として「みんながキャラクターやシーンについて意見を出せるような現場にしたい」とお話しされていましたが、そういった雰囲気を感じますか？

高橋：二宮さんご自身がフラットな方なので、現場全体がそういう空気感になっていると思います。

女優は「本当の自分を見せられる場所」

――オリジナル作品ということで、高橋さんから役について何か提案されたりもしましたか？

高橋：まずは監督に言われたことを汲み取って、自分が思ったことを表現してみる、という感じですね。「こうで、こうだから、こう思います」みたいな話はせずに、思いを表現で見せるかたちでやっています。でもクランクインの時に、まるでワークショップのように監督が何回もやらせてくれた、というのはありました。それがすごく楽しかったし、嬉しかったです。「試していいんだ、試せる現場なんだ」って。ありがたかったですね。

――言葉ではなく表現で見せるというのは、ふだんから大切にされていることなのでしょうか？

高橋：私はやる前から“頭でっかち”になるのがあまり好きではなくて、「まずやってみよう！」というタイプなんです。実際、言葉で話していても、動いてみたら「あれ？」ということもあるんですよね。なので、まずはやってみて、違ったら話し合う。そして、またやってみる、というやり方が好きですね。

――頭で考えすぎずに、まずは動いてみると。モデル業に農業と多才な高橋さんですが、ご自身の中で“女優業”はどのような存在ですか？

高橋：私は……というか、みなさんそうだと思いますけど、プライベートでは思いっきり怒ったり、人前で思いっきり泣いたりなんて、できないじゃないですか。リアルな世界では、そういう感情をみんな抑えていると思うんですね。でも女優というお仕事は、感情を出せば出すほど、それが魅力になったり、それに感動してくれたりする方たちがいる。ある意味、本当の自分を見せられる場所だと思っていて。だから私は、女優業をやることで癒やされていますね。役を演じることで、自分自身のバランスを取っているような気がしています。

■放送情報
日曜劇場『マイファミリー』
TBS系にて、毎週日曜21:00～21:54放送
出演：二宮和也、多部未華子、賀来賢人、高橋メアリージュン、大友康平、神野三鈴、迫田孝也、那須雄登（美 少年／ジャニーズJr.）、山田キヌヲ、 渡辺邦斗、藤間爽子、大島美優、松本幸四郎、富澤たけし（サンドウィッチマン）、濱田岳、玉木宏
脚本：黒岩勉
演出：平野俊一
プロデューサー：飯田和孝、渡辺良介（大映テレビ）
スーパーバイジングプロデューサー：那須田淳
協力プロデューサー：大形美佑葵
製作著作：TBS
(c)TBS