『マイファミリー』賀来賢人と濱田岳の親友コンビが活躍 利害が錯綜する複雑な対立図式に

 実行犯がメディアを巻き込んで自らの正当性を訴える。いわゆる劇場型犯罪はドラマや映画の題材で取り上げられることも多い。一方で、誘拐事件の被害者や家族がメディアを巻き込んで警察と対峙するという構図は多くない。『マイファミリー』(TBS系)第2話では、鳴沢温人(二宮和也)と未知留(多部未華子)夫妻が、警察と世間を向こうに回して奮闘する。

 誘拐発生から30時間。警察に協力を要請したことが発覚し、犯人から娘の友果(大島美優)を殺すと脅された温人たちは警察を排除することを約束。犯人は20時までに警察の完全排除を命じ、温人たちは友果を救うために東堂(濱田岳)と三輪(賀来賢人)の助力を仰ぐ。人物相関図だけではわからない複雑な対立図式。味方だと思っていた警察は鳴沢家を監視し、温人と未知留の離間策を講じる。親友の三輪は温人の依頼を断って、一度は警察の葛城(玉木宏)と手を組む。第1話に続いて、どこにどう作用するかわからない仕掛けの連続と予測不能の展開に翻弄されっぱなしだった。

 第2話で浮き彫りになったのは、本作の持つメディア的ともいえる多角的な視点だ。冒頭で挙げたように、犯人vs警察また犯人vs被害者に加えて、警察vs被害者という複数の対立図式がある。報道協定に拘束されたメディアと警察の協力体制は、温人たちがネットニュースに情報を流したことで破られ、鳴沢家に取材陣が押しかける。メディア内にも大手と新興メディアの対立があった。

 物事には表と裏の顔がある。身代金を調達する温人に協力して「ハルカナ・オンライン・ゲームズ」の株を購入した阿久津(松本幸四郎)は、世間の同情を味方につけた株価上昇に会心の笑みを浮かべる。温人のビジネスパートナーである香菜子(高橋メアリージュン)は、温人の危機を業績回復に結び付けた。犯人逮捕に全力を挙げる葛城たちは、目的を達するために偽計や盗聴などの違法行為もいとわない。「警察の介入なしで営利誘拐が成立してはならない」という言葉は、警察の存在意義を問うものだった。警察、被害者、メディアそれぞれが情報を発信し、守るべきもののため選択を突きつける。それらが必ずしも正しくないところが興味深い。各自の正義は価値観の相対化と社会の分断、矛盾に満ちた人間という生き物を活写する。

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