舞台と声優どちらもやりがいがある

――三森さんはミュージカル俳優から声優への道に進んだ方ですが、近年、また舞台に立つ機会が増えていますね。これは心境の変化があったのでしょうか？

三森：心境の変化というほどドラマティックなことはないのですが、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』で舞台とアニメ両方やることになったのがきっかけと言えばきっかけですね。それまでは、自分はもう声優一本でいいかなと思っていたんです。でも、舞台には舞台で得られるものがあって、その場で起きる問題に対して瞬時に解決しなきゃいけない。そういう力は役者として大事ですし、今の自分には舞台でどれくらいの年齢の役ができるんだろうって思いもありました。声優は同じ年の役を、声が出る限り続けられますけど、舞台は今の自分じゃないとできない役もあると思いますから、役者としてどちらも面白いんです。

――声優を始めたころは、声優経験が舞台に還元できれば、という気持ちだったのでしょうか？

三森：もちろん最初はそのつもりで、声優も芝居の勉強の一環として挑戦してみるかという感じでした。でも、思いのほか自分に合っていたんです。声優業は、生きている時間のスピード感が速くて、一日にいくつもの現場に行ってたくさんのキャラクターを演じられるし、やることも多いですから、せっかちな性格の私にはその方が向いていたんです。

――役者としての三森さんの強みって、ご自身では何だと思いますか？

三森：なんでしょうね。監督やディレクターさんに言われたことをすっと受け入れるとこかなあ。疑問に思ったことは話し合いますけど、役者は監督が思い描くものを表現するものですから、自分なりに表現してみて、「それそれ！」と言われるのが嬉しいですし。

――今後、挑戦してみたい役はありますか？

三森：声優を始めてから色んな役に挑んできたんですけど、最近は、大和なでしこ的な凛とした役や、陰のある役を演じることが多くなっています。ルイ役は久しぶりに華やかな役だったので、自分の高いトーンの声を活かせる役にもっと挑戦したいですね。ベタなツンデレ役とか今まで意外となかったので、釘宮理恵さんが得意とするような可愛いツンデレ役をやってみたいです。

――そういえば、案外そういうタイプのキャラクターは演じられてないかもしれないですね。これは、大きな質問ですが、三森さんにとって演じることの楽しさ、醍醐味って何ですか？

三森：自分の中で出したかった芝居がちゃんとできた時すごく嬉しくて、それができた日はすごく楽しい気分で家に帰れるんです。でも、そういうのは、1年に1回か2回くらいなもので、日々難しいと感じることばかりです。私はミュージカル出身ですけど、ミュージカルは歌も踊りもある世界で芝居に特化しているわけじゃないですし、声優養成所にも通ったこともないですし、まだまだ模索中です。でも、どうすればいいのかを追求していけることが楽しみで、一番の醍醐味でもあります。

――芝居の世界には完成形はありませんから、どこまでも追求できますからね。

三森：そうですね。私はすごく緊張する性質で、オーディションもいまだに緊張するので、たくさん練習したのに結局本番で100％の力を発揮できないこともよくあって、最近も悔しい思いをしています。でも、そういう日々の挑戦にやりがいがあるんです。

――やっぱり向上心が強いですね。最後に、映画をご覧になる方にメッセージをお願いします。

三森：この映画は、登場人物17人の証言という形式を取っています。テレビアニメを観ていた方は、あの時、あの場面でこのキャラクターはこんなことを考えていたのかとより深く楽しめるようになりますし、まだご覧になっていない方でも楽しめるようになっています。どんな方でも何かしら引っかかるものがあると思うので、多くの方に劇場に足を運んでほしいです。

■公開情報
『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』
全国公開中
花江夏樹、飯田里穂、木村良平、山口勝平、三森すずこ、小泉萌香、村上まなつ、昴生（ミキ）、亜生（ミキ）、ユースケ（ダイアン）、津田篤宏（ダイアン）、たかし（トレンディエンジェル）、村上知⼦（森三中）、浜田賢二、酒井広大、斉藤壮馬、古川 慎、堀井茶渡、汐宮あまね、神楽千歌、虎島貴明、METEOR
企画・原作：P.I.C.S.
脚本：此元和津也（P.I.C.S. management）
監督：木下麦（P.I.C.S.）
アニメーション制作：P.I.C.S. × OLM
配給：アスミック・エース
製作：映画小戸川交通パートナーズ
(c)P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ
公式サイト：oddtaxi.jp
公式twitter：＠oddtaxi_
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