『DCU』横浜流星も続く? 阿部寛が育てる、日曜劇場の後継者

 まもなく最終回を迎える日曜劇場『DCU』(TBS系)。主演を務める阿部寛といえば“日曜劇場の顔”として、本作のみならず、数々のドラマにて熱い展開を牽引してきた存在だ。その背中を見てきた者たちは、彼に続くのかーー。本作では横浜流星らの存在に大きな注目が集まっているところである。

 阿部が「日曜劇場」の枠で主演を務めるのは、2020年代に入って早くも2度目のこと。2021年の春クールに放送された『ドラゴン桜』第2シリーズでは、学園を舞台に型破りな教育者を演じ、また同時に将来を嘱望される若手俳優たちを“育てる”ポジションにあたっていたように思う。King & Princeの高橋海人に平手友梨奈、映画での大役が続く南沙良、加藤清史郎、鈴鹿央士、志田彩良、細田佳央太……と、そこには注目株がズラリと並んでいた。誰もがまだとても若く、俳優としての経験値もキャリア形成の仕方もバラバラ。いずれもすでに第一線に立つ者たちではあるが、ベテランの阿部からすれば、まだ“卵”や“原石”といったところなのではないだろうか(加藤清史郎に関しては人生のほとんどを俳優として過ごしているが)。彼・彼女らの中から阿部に続く者が出てくるというのは非常に夢がある。

 「日曜劇場」での阿部の活躍をもう少し遡ってみよう。するとそこにもまた、彼の背中を見てきた者たちの存在がある。例えば、『新参者』(2010年)に出演した向井理は、当時はまだ頭角を現し始めたばかりの若手俳優の一人。同時期に放送されたNHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』(2010年)への抜擢も大きかったはずだが、その後に彼は『サマーレスキュー〜天空の診療所〜』(2012年)、『S -最後の警官-』(2014年)という2作品で日曜劇場の看板を背負った。そして、阿部が2015年に主演を務め、その後に続編も制作された『下町ロケット』で主要な役どころを担った竹内涼真は、ランニングシューズの開発に情熱を注ぐ者たちの奮闘を描いた『陸王』(2017年)にて陸上選手の茂木裕人役を演じ、ドラマのヒットに貢献。続いて『ブラックペアン』(2018年)でも大役を担い、『テセウスの船』(2020年)にてついに日曜劇場の看板を背負ってみせた。かつて彼らの視線の先に阿部寛の存在があったというのが興味深いのだ。

 ここで『DCU』へと話題を移そう。同作はTBSがハリウッドの制作会社と共同で制作する“海”を舞台としたスケールの大きな作品で、海上保安庁に新設された水中における事件・事故の捜査活動に命を懸ける水のスペシャリスト集団「DCU」の活躍を描いたもの。「日曜劇場」がまさにネクストステージへと上がるドラマであり、主演に阿部が配されているのは当然だろう。彼が演じているのは「DCU」のチームを導く隊長・新名正義。目的を達成するためなら手段を選ばない人物だ。だからこそ、チームのメンバーとの衝突も多々あった。そんな彼の下についたのが、横浜流星演じる瀬能陽生たちだ。ほかにもユニークなメンツが揃っているが、“若手俳優”の枠でいうと、やはり最注目なのは横浜となる。彼は諸作品で見せてきたように身体を扱うことにも長けており、パワフルな演技も得意だ。何より本作では、日曜劇場特有の“熱い展開”を生み出すことに一役買っている。彼の日曜劇場への登場はこれが初であり、阿部ともこれが初共演。瀬能役は、阿部を相手取っての大きな衝突が避けられないポジションだが、大先輩とのぶつかり合いを横浜は見事に展開させてきた。今回の成果から、彼が日曜劇場の看板を背負う日がやってくるのはそう遠くないのではないかと感じる。

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