「THE」のあるところに新DCあり “シン・バットマン”としての『ザ・バットマン』

 さて、『ザ・バットマン』ですが今までのバットマン映画と違いヒーロー映画というよりスリラー映画。また、それまでのバットマンが大人として描かれるの対し、青年が主役というちょっとダークな青春映画です。トーンとマナーは全然違いますが、「自己の都合を優先してきた若者がヒーローとしての責任に目覚める」という流れは『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』にも通じるものがあります。

 まさに今回のバットマン/ブルースも“大いなる力には大いなる責任が伴う”ことを学んだようです。今までのバットマン伝説を踏襲しつつ、新たな解釈で語りなおす。今までのゴジラに対して『シン・ゴジラ』の衝撃があったように『ザ・バットマン』は『シン・バットマン』的な面白さがありました。

 今回の『ザ・バットマン』にはホラー映画的要素もありますが、ジョン・カーペンター監督へのオマージュも感じました。例えばリドラーが部屋の中にすっと立っていたり車の後部席に潜んで襲ってくるところは『ハロウィン』のブギーマンことマイケル・マイヤーズだし、バットモービルが動き出すシーンは意志を持った車が人を襲う『クリスティーン』(原作はスティーヴン・キング)を意識しています。もしかしたら、本作の監督マット・リーヴスはジョン・カーペンター信者なのかもしれませんね。

 余談ですが、リーヴスは『ザ・バットマン』の前に『猿の惑星:新世紀』『猿の惑星:聖戦記』を手掛けていますが、『バットマン』のティム・バートンも後に『PLANET OF THE APES/猿の惑星』を監督しています。猿の惑星とバットマンには何か縁があるんですかね?(笑)

 最後にトリビアを。ブロンソン・ウェッブという役者さんが出ていますが、この人は『ダークナイト』でジョーカーの手下を、『ザ・バットマン』でリドラーを崇拝をして行動を起こす過激派を演じています。この2作に出て、それぞれメイン・ヴィランの配下役ってすごいですね。

■公開情報
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』
全国公開中
監督:マット・リーヴス
脚本:マット・リーヴス、マットソン・トムリン
出演:ロバート・パティンソン、コリン・ファレル、ポール・ダノ、ゾーイ・クラヴィッツ、ジョン・タトゥーロ、アンディ・サーキス、ジェフリー・ライトほか
配給:ワーナー・ブラザース
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公式サイト:thebatman-movie.jp

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