『津田梅子』広瀬すず、ディーン・フジオカら適材適所の配役 令和の今も響く梅子の信念

 広瀬すず主演のスペシャルドラマ『津田梅子 ~お札になった留学生~』(テレビ朝日系)が3月5日に放送された。

 本作は、新紙幣の“顔”、津田梅子の青春をたどる人間ドラマ。2024年、20年ぶりに新紙幣として、新たに5000円札の顔として描かれるのは、日本初の女子留学生としてアメリカに渡り、後に女子教育の先駆者として活躍した津田梅子だ。

 今作を観ていて思い出したドラマがいくつかある。その一つがちょうど1年前に広瀬を主演にオンエアされた『エアガール』(テレビ朝日系)だ。監督の藤田明二をはじめ、主要スタッフが再び集結している今回の『津田梅子』は、『エアガール』に続く広瀬との再タッグとも取れる。2作に共通するのは、どちらも女性初の先駆者であること。戦後初のキャビンアテンダントを演じた前作に対して、『津田梅子』で広瀬は日本初の女子留学生を好演している。

 そして、『エアガール』同様に、梅子(広瀬すず)の人生もまた“嵐”のような波瀾万丈の物語である。11年間の留学を終えて帰国しても文部省から仕事先は用意されず、梅子は留学生仲間の捨松(池田エライザ)や繁(佐久間由衣)と誰でも学ぶことのできる女子のための英語学校の開講を目指していく。日本での結婚は男女の立場が平等ではないと考える梅子に、夢半ばで結婚を選ぶ捨松と繁。やっと華族女学校にてアメリカで学んだことを活かせると女子教育に意欲を見せる梅子だったが、生徒(の親)が求めるのは箔を付けることであり、良妻賢母の育成が大前提にあった。

 日本の教育方針に根本は何も変わらない息苦しさすら感じ始めていた梅子の意識を変えたのは、初代文部大臣である森有礼(ディーン・フジオカ)の「考え方に縛られているのは梅」だという言葉だった。自分の考えに素直になった梅子は教師の仕事から離れ、2度目の留学としてアメリカの大学でもう一度学ぶことを決断する。そして帰国後、36歳になった梅子は塾長として、女子のための専門学校・女子英学塾を立ち上げ。それは梅子が新たに志した、未来の女性たちへの恩返しだった。

 演じる広瀬すずとしては、ネイティヴな英語と帰国直後の拙い日本語が印象的だが、自分の意志を真っ直ぐに貫く姿勢は彼女の演じてきたキャリアの中でも最も粘り強い女性と言えるだろう。だがその裏には、結婚という幸せを選択する捨松や夫のいいなりになっている妻という日本の悪しき風習にある父母に涙することもあった。

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