『カムカムエヴリバディ』明るいひなたと孤独だったるい 対照的な子供時代を比較する

 和菓子屋の娘として生まれた安子(上白石萌音)、安子の娘で回転焼き店を営むるい(深津絵里)、るいの娘で自分の進む道を模索中のひなた(川栄李奈)。三代のヒロインを描く連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(NHK総合)は、それぞれ育ってきた時代背景が異なるため、送ってきた子供時代にも大きな違いがあるのが特徴だ。三代目ヒロイン・ひなたは高校3年生だが、楽しい子供時代を過ごして18歳になった。るいの小学生から高校生までの学生時代は劇中で描かれなかったものの、2人の子供時代の違いを比較してみたい。

 初代ヒロインの安子編は、愛娘のるいと別れるという悲しいラストだったため、2代目ヒロインのるい編より壮絶だったという声を聞く。しかし、描かれなかったるいの学生時代を想像すると、胸がしめつけられるような気持ちになる。るいは安子が渡米した後、雉真家で育ったが、そこには両親はおらず、祖父の千吉(段田安則)と叔父の勇(村上虹郎)が可愛がってくれたとしても仕事で多忙だっただろうし、勇の妻・雪衣(岡田結実)は夫が好意を寄せていた安子の娘であるるいを煙たがっていただろうと想像できる。

 それでもるいは18歳になるまで雉真家で暮らし、千吉の言いつけどおり「しっかりとした教育」を受け続けた。千吉が他界したことをきっかけに、高校を中退して雉真家を出たが、千吉は亡くなる前、安子が渡米してからるいは声を出して笑うことはなかったと語っていた。どれほど自分を押し殺して、小・中・高校時代を過ごしたのだろう……。

 兄弟姉妹もなく、友達の存在についても描かれることがなかったるい。恐らく勉強に打ち込むしかなかったと思うので、成績は良かったのではないだろうか。手先も器用だし、竹村クリーニング店に住み込みで働くようになった後は洗濯の仕事も家事も問題なくこなし、料理もどんどん上達していったるいを見ると、子供時代に怠けることなど一切なかったに違いないと感じる。そんなふうに雉真家で英才教育を受けることができても、ずっと孤独だったるいと比べて、娘のひなたの子供時代は180度違う。

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