さて、オダギリジョー、浅野忠信、西島秀俊の三者のいずれもが、日本を代表する映画俳優であることはすでに述べたとおりだ。改めて、彼らの朝ドラへの登場は何をもたらすのか。それはやはり、作品の“深度”だろう。

　朝ドラは視聴者の層が非常に広いものとあって、俳優たちには広く伝わる演技が求められる。ある種“分かりやすい演技”といえるものだ。彼らが出演してきた特定の映画作品と比べると、その違いは顕著だろう。先に挙げた西島の一例がその最たるものだと思う。彼らもまた、朝ドラでは朝ドラに適した演技に徹しているわけである。それでも、彼らが映画俳優として培ってきたものが消えるわけではない。90分や120分の間、劇場の暗闇の中で観客の視線をスクリーンから離さない彼らの力は、15分間の朝ドラにも活きてくる。分かりやすいセリフ回しとは裏腹に、佇まいだけで魅せる彼らの演技は、セリフ以上にキャラクターの内面と背景を物語る。これが作品の“深度”として、朝ドラに影響をもたらしているように思うのだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』
総合：午前8:00〜8:15、（再放送）12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K：7:30〜7:45、（再放送）11:00 〜11:15
※土曜は1週間を振り返り
出演：上白石萌音、深津絵里、川栄李奈ほか
脚本：藤本有紀
制作統括：堀之内礼二郎、櫻井賢
音楽：金子隆博
主題歌：AI「アルデバラン」
プロデューサー：葛西勇也・橋本果奈
演出：安達もじり、橋爪紳一朗、松岡一史、深川貴志、松岡一史、二見大輔、泉並敬眞ほか　
写真提供＝NHK