堤真一が語る“親心” 「『ダメ』ではなく『やってみな』と言えるようになりたい」

「ダメ」ではなく「やってみな」と言えるようになりたい

――今回はファンタジー要素のある物語ですが、説得力を持たせるために工夫されていることを聞かせてください。

堤:落ち込んで希望をなくしているシーンでは、情けない奴、嫌な奴に見えるようにと思っています。奥さんといる時にも、“素敵な奥さんをもらって浮足立っている感じ”というか、観ている人が嫌悪感を抱く、共感できないようなキャラクターにしたいなと。監督ともそういう話をしていますね。

――第一報の際に「妻が小学生になるっていうのを考えても想像できない」とコメントされていましたが、実際にはどのように役を作り上げていったのでしょうか?

堤:芝居についてはその時、その時で監督ともよく話をしますけど、何より助かっているのは、ゆり子さんが自分の撮影がなくても現場に来てくれていることです。何を言うわけではないけれど、来てくださっているだけで僕はすごくやりやすくて。小学生の暖乃ちゃんに対して“貴恵さん”として話しかける時に、ゆり子さんと会ったばかりだと脳裏にイメージが浮かびやすいんですよ。ゆり子さんは「暖乃ちゃんが心配だから」と彼女のために来ているけど、僕が一番助かっています。

――クランクイン前の想像よりは、スムーズに演じることができている?

堤:いやぁ、これから難しくなると思うんですよね。圭介は「本当に妻の生まれ変わりなんだ」と思えた喜びから、いろんな現実にぶち当たっていく。人生は前を向き始めたかもしれないけど、これからどうやっていくことが家族にとっての幸せだったり、正しいことだったりするのか。それを考えさせられる話になっていくと思うんです。後半は「なぜ前世の記憶が蘇ったのか」を追求していくことにもなると思うので、このまま3人で楽しく暮らしていける感じではなくて。ここからが大変だと思うので、ゆり子さんには是非、全シーンに来ていただきたいです(笑)。

――第1話の台本を拝読して、小学生として現れた貴恵に圧倒された圭介の「……」が多い印象でした。

堤:セリフを覚えなくていいから楽っていうのはあるんですけど(笑)、あまり意識してないですかね。とにかく相手をちゃんと見て、感じて、芝居するだけなので。僕、ト書きも読んでいるつもりなんですけど、(叩かれた時に)「ここでペシンッとやられるんだ」と思ったりもしますから(笑)。構えずに、起きていることに対して素直に動こうと思っているので、「……」は気にしていないです。

――まだ撮影も序盤かと思いますが、どのあたりが見どころになりそうでしょうか。

堤:僕が主演ではあるけど、明らかに子役の毎田暖乃ちゃんが中心の作品です。彼女をどうサポートしていけるか。おそらくオンエアされたら「天才子役」と言われて引っ張りだこになると思いますが、でも、お芝居に関しては子どもだからと遠慮せず、きっちり話していきたいなって思います。見どころとしては、内容はぶっとんでいて不思議な要素もあるけど、人間の再生の話なんです。最終的にこの家族が一体どうなるのか楽しみですし、脚本を読んでいても「とにかく次を早く読みたい」と思えるくらい、いい作品になると思っています。

――「天才子役と言われると思う」とのことでしたが、現段階で堤さんが毎田さんに対して“すごい”と感じている部分は?

堤:圧倒的に僕よりセリフが多いのに、きっちり覚えてきているし、関西人だけど標準語のセリフを一生懸命に話している。お母さんと一緒に練習してるんだなって思うと、その努力はやっぱりすごいですよね。僕は年を取ってきて、セリフが全然入ってこなくて困ってしまうんですよ(笑)。

――(笑)。ドラマには、圭介にとって妻・貴恵が「信じるもの」だというセリフがあります。最後に、堤さんにとって信じるものを教えてください。

堤:自分の娘に対しては、いろんなこと心配しても始まらないんですよね。年を取ってからの子どもだから、この子には将来どうなってほしくて、そのためには何を伝えていけばいいんだろうと考える時期もあったけど、今はもう子どもたちが目指すことについて、「ダメ」ではなく「やってみな」と言えるようになりたい。子どもが何かを選択する時には、後押ししてあげたいなと思いますね。

――子どもを信じられる親になりたい、と。

堤:今は小学生と幼稚園児ですけど、それでもすべてのことを言うわけではないし、監視するわけにもいかない。それにこの先、僕がいなくなったとしても“きっと強く生きていける”というのは、信じるしかないですから。

■放送情報
金曜ドラマ『妻、小学生になる。』
TBS系にて、1月21日(金)スタート 毎週金曜22:00~22:54
出演:堤真一、石田ゆり子、蒔田彩珠、森田望智、毎田暖乃、柳家喬太郎、飯塚悟志(東京03)、馬場徹、田中俊介、水谷果穂、杉野遥亮、小椋梨央、吉田羊
原作:村田椰融『妻、小学生になる。』(芳文社『週刊漫画 TIMES』連載中)
脚本:大島里美
プロデュース: 中井芳彦、益田千愛
演出:坪井敏雄、山本剛義、大内舞子、加藤尚樹
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/tsuma_sho_tbs/
公式Twitter:@tsumasho_TBS

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