中村倫也&柄本佑、2021年を代表するエンターテイナーに? “年男”である2人の共通点とは

 他方、柄本佑はというと、2021年の活躍ぶりが今年へ、さらに来年へと続いていくことが完全に決まっているようである。昨年の活躍ぶりからざっくり触れてみると、『天国と地獄〜サイコな2人〜』(TBS系)では殺人事件の容疑者と刑事の“入れ替わり劇”という奇妙な物語において、展開を左右させる可能性を持つキーマンを好演。主演の綾瀬はるかや高橋一生に並び、柄本の演じた“りっくん”を応援していた方も多いことだろう。映画では、兵庫県尼崎市の在宅医・長尾和宏氏の姿を追ったドキュメンタリー『けったいな町医者』のナレーションを担当、長尾氏の著作を原作とした『痛くない死に方』では主演として“町医者”を演じ、“在宅医療のリアル”、ひいては“生と死”の問題の切実さを世に訴えることに貢献した。この二作とは打って変わって浮気夫に扮した『先生、私の隣に座っていただけませんか?』でも主演。自分の不貞が原因でありながら、妻の行動に対して恐怖と嫉妬に駆られていくさまをコミカルに演じ、その翻弄されっぷりは、観ているこちらまでお腹が痛くなるものであった。

 だが、今年の柄本はさらにすごい。まずこの1月には、海外アニメの吹き替えを担当した『シチリアを征服したクマ王国の物語』が封切られ、永瀬廉、池田エライザとの共演作『真夜中乙女戦争』、藤沢周平原作の時代劇『殺すな』が週を替えるごとに立て続けに公開。また同時に、間もなく放送開始の新ドラマ『ドクターホワイト』(カンテレ・フジテレビ系)でも重要な役どころに配されており、主演の浜辺美波を支える活躍に期待大だ。映画館にお茶の間にと、柄本を見かけない日がなくなりそうである。さらに春以降も、『ハケンアニメ!』や荻上直子監督の新作『川っぺりムコリッタ』、声優として参加した湯浅政明監督による劇場アニメーション『犬王』と、話題作の公開が続くのだ。

『真夜中乙女戦争』(c)2022「真夜中乙女戦争」製作委員会

 すでにお気づきのことと思うが、中村と柄本は『ハケンアニメ!』で共演するのである。これが商業監督作品2作目となる気鋭のクリエイターによる作品であることに加え、同じ年(寅年)の生まれである若き名優二人がメインキャストとして共演することに期待しないわけがない。さて、彼ら二人の共通点は他にもある。中村は今年、柄本は来年、「仮面ライダー」に扮するという点だ。後者は2023年公開予定の『シン・仮面ライダー』にて一文字隼人/仮面ライダー第2号を演じるのである。キャリアを積んできた同い年の若き名優が、「仮面ライダー生誕50周年」を記念した2作でそれぞれ「仮面ライダー」に挑戦するというのは何とも奇遇であり、面白い。そしてこの二人は、歌も歌える俳優である。中村は「ホール・ニュー・ワールド」を、柄本は「勇者のババババン」を、幅広い世代に向けて歌唱した。“歌える”というのは、「エンターテイナー」としての一つの証でもある。この点にも注目だ。

『仮面ライダーBLACK SUN』(c)石森プロ・ADK EM・東映
『シン・仮面ライダー』(c)石森プロ・東映/2023「シン・仮面ライダー」製作委員会

 むろん、「寅年」で芸達者な者たちは他にもまだまだいる。バイプレーヤーとして引っ張りだこの前野朋哉や、ミュージカルシーンで多くの功績を残す山崎育三郎に小池徹平、ましてや亀梨和也などは完全に「エンターテイナー」だと呼べる存在である。今年の年男たちはどのようにして私たちに魅せてくれるだろうか。

■公開情報
『ハケンアニメ!』
5月全国公開
出演:吉岡里帆、中村倫也、柄本佑、尾野真千子、工藤阿須加、小野花梨、高野麻里佳、前野朋哉、古舘寛治、徳井優、六角精児
原作:辻村深月『ハケンアニメ!』(マガジンハウス刊)
監督:吉野耕平
脚本:政池洋佑
制作プロダクション:東映東京撮影所
配給:東映 
(c)2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会 
公式サイト:haken-anime.jp

関連記事