吉沢亮&演出に『青天を衝け』第40回を聞く 「栄一と喜作は2人で1人のような関係」

 NHK大河ドラマ『青天を衝け』の放送も残り2回。幼少期から描かれてきた主人公・栄一(吉沢亮)とその周囲の仲間たちの旅路もまもなく終わりを迎えようとしている。12月19日放送の第40回を前に、主演の吉沢と演出の黒崎博に注目ポイントを聞いた。(編集部)

※以下、第40回の内容に触れています

最後の最後まで渋沢栄一は駆け抜ける

演出・黒崎博

ーー『青天を衝け』の放送も残すところ2回となりました。

吉沢亮(以下、吉沢):この作品の肝は、何歳になっても衰えない栄一のエネルギー、挑戦し続ける姿です。最後まで失敗をしながらも、現役としてやりたいことを全うする栄一を演じ切りましたので、その部分を観ていただきたいと思います。

黒崎博(以下、黒崎):渋沢栄一の物語を綺麗に閉じていくにはどうしたらいいのかと考えていた時期もありましたが、それは無理だったんです。最後の最後まで渋沢栄一は駆け抜けるように生きた人で、どうにも収束しきらない物語になったなと思っています。第40回では、栄一がこの期に及んでアメリカに行くという展開で、最後までエネルギー溢れる物語になっています。

ーー第40回では実業界から引退した栄一が民間外交としてアメリカに渡り、実業団が用意した通称“100万ドル列車”に乗って全米を横断しながら平和を訴えていきます。そこでは、パリ編で活かされたグリーンバックでの撮影の手法が取り入れられているそうですね。

吉沢:列車をスタッフのみなさんが全力で揺らして走っているように見せたり、列車が止まるタイミングで自分たちも止まったほうがいいよねって話をしながら、みんなで作っていったその感じが楽しかったです(笑)。

黒崎:列車がなかなか揺れなくてですね……(笑)。10人も20人もセットを囲んで揺らしてっていうのを今では笑い話ですけど、現場ではスタッフが本当に頑張ってくれて。役者のみなさんも狭い列車の中で長時間の撮影だったので、吉沢さんや兼子を演じる大島優子さんは大変でしたが、これまで表れてこなかった夫婦関係が見えてきたり、なにか不思議な作用があったなと思いましたね。列車の窓の外の風景だったり、グリーンバックでの合成も大変でスタッフに苦労をかけてしまいましたが、チームとしても一体感が生まれていたように感じています。

ーーアメリカの経済人たちを前にした栄一のスピーチも第40回ではハイライトの一つです。

吉沢:演説のシーンは、同時進行で英語の通訳が進んでいく中、セリフのタイミングもそうですしどこに向けての感情なのかとか、いろいろなことを考えた芝居でした。成立するのは難しい場面だなと思っていたのですが、実際の映像を観て自分の芝居ではあるんですけどちょっとウルっときましたね。

黒崎:こんなに強いシーンになるんだと、吉沢さんの芝居の熱量に僕自身が驚きました。想像を超えて演じてくださったので、このアメリカ編をやってよかったなと思わせてくれるシーンです。

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