松下洸平「絶対に結果を出さなければいけない」 覚悟して臨んだ『最愛』で得たもの

 ドラマ、映画、舞台、そしてバラエティに音楽とあらゆるフィールドで活躍する松下洸平。2019年にはNHK連続テレビ小説『スカーレット』での八郎役、2020年には『#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜』(日本テレビ系)での“あおちゃん”役など、様々なキャラクターを演じ、その物語や芝居で心を動かしてきた。そんな松下の作品の中でこの2021年、より一層視聴者が心を掴まれてしまっているのが『最愛』(TBS系)だ。

 吉高由里子演じる主人公・梨央を一途に思い続ける宮崎大輝役を演じている松下は、大学生から社会人の15歳の振り幅も難なく見せ、表情や声色、佇まいから繊細に大輝の心情を表現する。今回、松下洸平にとっての『最愛』という作品への強い思い、そして大活躍の裏で今、考えていることについて話を聞いた。(編集部)

「もっと飛騨弁を喋りたい」 方言は楽しみながら

――今回の大輝もそうですが、松下さんはいつも方言のある役柄を魅力的に演じていらっしゃいます。

松下洸平(以下、松下):言葉で説明するのは難しいんですけど、たとえばネイティブな英語を喋る人って、僕たちが思っている以上にいろんな音を省いて、流暢に言葉を発する気がしていて。なので、方言も方言だからといって「音が合ってるかな」とか「こうしなきゃ」とか、ガチッと考えすぎないようにしています。今回でいえば、よく「~やで」と言うんですけど、僕はふだん「やで」なんて言わないので、「や・で」ってちゃんと言わなきゃいけないと思ってしまう。でも、きっと飛騨出身の方は「やで、なんとかなんとかで~」と、サラッとおっしゃると思うんですね。そういう細かなニュアンスを、あたかも“いつも喋ってます風”で喋れるように、というところは気をつけています。

――標準語のセリフと比べて、感情を乗せるのが難しくはないですか?

松下:う~ん……あまりないかもしれないですね。僕は染まりやすいタイプの人間なので、「あなたは今日から飛騨の人間です。だから飛騨弁で喋ってください」と言われたら、合っていようが合っていまいが、飛騨っぽい喋り方をして、その人になりきっていくのが楽しいんですよ。自分が東京出身で方言を持たないので、余計に「なんかいいなぁ。飛騨弁かわいいなぁ」って、もっと飛騨弁を喋りたい、喋りたいって思うんですよね(笑)。だから、台本では飛騨弁じゃなかったところも、飛騨弁に変えて喋ったりもしています。第3話の「ずっとどうしとるんか、気になっとった」とかも、台本には標準語で書かれていたけど、僕が楽しみながら飛騨弁で喋りました。

――今回は、制作サイドから「これまでの松下さんとは違うキャラクターに」との声があったと聞きました。

松下:演出の塚原(あゆ子)さんや新井(順子)プロデューサーから、「今までは優しくて柔らかい、ちょっと不器用で真っ直ぐな青年というイメージが強かったけど、それとは違う部分を見せたい」とおっしゃっていただいて。大輝は僕がふだん使わないような強い言葉遣いもしてくれるので、僕自身すごく楽しんでやっています。だけど結局、人となりって出ちゃうと思うんですよね。どれだけ無理をしても、僕がやる以上、僕らしさはどこかに必ず出てきちゃう。逆に、僕が無理をしてしまうとその人間には見えない気がするので、無理に消そうとせずに僕なりの大輝をやって、自分が今まで演じてこなかった部分に関しては塚原さんや演出の方に引き出していただく。そうやって大輝を演じて、それがみなさんの心に少しでも届いたのであれば嬉しいですね。

――オファーがあった時には「すごく驚いた」そうですが、そのくらい松下さんにとって大きな作品になる、という思いがあったのでしょうか?

松下:僕は塚原さんと新井さんのペアを一度『MIU404』(TBS系)にゲスト出演させていただいた時に経験させていただき、この組の素晴らしさと過酷さを知って、俳優にとってかけがえのない経験をさせてもらえる組だと感じていたので、今回3カ月、このチームとご一緒できるというのは、自分にとって確実に大きな一歩になると思いましたし、そうしなければいけない。「絶対に結果を出さなければいけない」と自分にかけたプレッシャーは、これまでの役よりもすごく大きかったと思います。そのくらい覚悟して臨まないとできない現場だし、覚悟を持って芝居をすれば、必ず視聴者のみなさんは楽しんで観てくれるっていう確信もあったんですよね。なので、オファーをいただいた時には嬉しいと同時に、その覚悟を持って自分がどこまでできるか、と。大輝という役を“本当にこの世界のどこかにいる人間”として感じてほしかったんですよね。大輝はドラマの中でしか生きていないけれど、どこかにいるような錯覚さえ覚えてしまうっていう。毎週毎週、「大輝はどうなるんだろう」「あの2人はどうなるんだろう」と自分たちのことのようにドキドキするって、ドラマを観る上で一番楽しい部分ですよね。そのリアリティをどこまで出せるかが、僕にとってチャレンジでした。もうニオイとかまで伝わったらいいなと思っていて。大輝は現場が続いてあまり家に帰ってないので、いつも着ているスーツとか思っている以上に臭いと思うんですよ(笑)。でも、汗臭さまでお客様に伝わったらいいなと。そういう思いでやらせてもらえるチームだったので、本当に覚悟して臨みましたね。

――大きな覚悟を持って臨んで、大きな反響が待っていたわけですね。

松下:この役をやらせていただけたことが本当に嬉しいですし、感謝しかないです。ただ、すごく難しいのは、“宮崎大輝”という人間を愛してもらえたけれど、「じゃあ自分はどうなんだ」というところが出てくるんですよね。それを演じた僕自身にも、何か彼に負けない魅力がなければ続かない。だからこそ大輝から学ぶことは多かったし、それを僕自身が裏切らないように。でも時には、そのイメージをいい意味で裏切れるように。僕自身をおもしろがってもらえたら、いいなと思います。

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