湊かなえのミステリー小説『母性』映画化&2022年秋公開決定 廣木隆一が監督に

 ベストセラー小説家・湊かなえ原作の『母性』(新潮文庫刊)が廣木隆一を監督に迎え映画化され、2022年秋に公開されることが決定した。

 2012年に発表された湊の小説『母性』は、ある女子高校生の遺体が見つかったことに端を発した、“母と娘”を巡るミステリー小説だ。湊は2007年に『聖職者』で第29回小説推理新人賞を受賞し小説家デビュー。2009年にはのちに映画化される『告白』が第6回本屋大賞を受賞、史上初のデビュー作でのノミネート・受賞となり、同作は累計発行部数300万部を超える社会現象を起こし、『贖罪』(2009年)、『望郷』(2013年)、『豆の上で眠る』(2014年)、『ユートピア』(2016年)、『落日』(2019年)など、数々の作品を世に送り出してきた。そんなベストセラー作家をして「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説です」と言わしめるほどに心血を注いで上梓した物語が『母性』で、2021年現在で発行部数は90万部を超える、湊の代表作の一つにも数えられている特別な作品でもある。

 今回の映画化に際して原作者の湊は、「映画化の話をいただいた際は、限られた時間でどの部分を切り取るのだろうかと、少し不安が生じました」と初めて映画化が決まった際の率直な心境を吐露する一方で、「しかし、脚本を読んで、切り取るのではなく、物語の大切なところをすくい上げ、映画として膨らませていることがわかり、安心しました」「原作者としてではなく、一観客として楽しみにできるのは、監督やスタッフ、役者の方々を信頼しているからで、そのような映像化になったことを、心から嬉しく思います」と喜びと期待の気持ちを明らかにした。

 そんな湊作品のメガホンを託されたのは廣木監督。1982年に映画監督デビューを飾り、1994年、サンダンス・インスティテュートの奨学金を獲得して渡米し、帰国後発表した『800 TWO LAPRUNNERS』(1994年)で文化庁優秀映画賞ほかを受賞。国内外40以上の映画祭で数々の賞を受賞した『ヴァイブレーター』(2003年)、『余命1ヶ月の花嫁』(2009年)、『軽蔑』(2011年)、『さよなら歌舞伎町』(2013年)、『ナミヤ雑貨店の奇跡』(2017年)、『ノイズ』(2022年)など数多くの映画を手がけてきた。また近年はNetflix作品『火花』(2016年)や『彼女』(2021年)が世界配信されるなど、デビューから約30年間、第一線で活躍し新たな挑戦をし続ける。

 本作に挑むにあたり廣木監督は、「湊さんが書かれた小説は前から気になっていたので、今回映画化することが出来て嬉しく思いますと同時にプレッシャーでもありまた」とオファーを受けた際の心境を明かしつつ、「湊さんが書かれた親と子供の関係性は普遍的である一方、様々な姿を三人の中に見せてくれました。どうぞ、女性の方ばかりではなく男性の方にも観ていただきたい映画になっているのでぜひスクリーンでお確かめ下さい」とコメント

 また、本作のエグゼクティブプロデューサーであるワーナー・ブラザース映画の関口大輔は、原作との出会いを、「湊かなえさんの小説が大好きで、いつか映像化に挑戦したいという夢を長年抱いていました。そして『母性』と出会い、どうしてもこの小説の映像化を提案してみたいと思いました」と振り返りつつ、「湊さんの素晴らしい原作、廣木監督の才能と独特の演出が合わさって、映画『母性』が完成します。今まで見たことのないような世界にお客さんを引き込む意欲作です。是非、映画館でこの世界を体験していただければと思います」と映画の誕生に自信をのぞかせた。

コメント全文

湊かなえ(原作)

 永遠に愛され、庇護される立場(娘)でありたい母親と、その母親から愛されたい娘の物語です。毒親でもなく、虐待でもなく、だけど大切なものが欠けた関係。それを、自分が母親と娘の両方の気持ちを持っているあいだに書きたいと、このテーマに挑みました。ちなみに、今はもうどちらの気持ちも持っていません。映画化の話をいただいた際は、限られた時間でどの部分を切り取るのだろうかと、少し不安が生じました。しかし、脚本を読んで、切り取るのではなく、物語の大切なところをすくい上げ、映画として膨らませていることがわかり、安心しました。一つ一つの場面が、役者の方々の演技や表情で、受け止め方が大きく変わってくる繊細な構成において、どのような感情を湧き起こさせてもらえるのか。原作者としてではなく、一観客として楽しみにできるのは、監督やスタッフ、役者の方々を信頼しているからで、そのような映像化になったことを、心から嬉しく思います。

廣木隆一(監督)

 湊さんが書かれた小説は前から気になっていたので、今回映画化することが出来て嬉しく思いますと同時にプレッシャーでもありました。母親と娘の話なので僕で大丈夫なのか心配でした。反面、どんな親子なのか興味あふれる物でした。でも、湊さんが書かれた親と子供の関係性は普遍的である一方、様々な姿を三人の中に見せてくれました。どうぞ、女性の方ばかりではなく男性の方にも観ていただきたい映画になっているのでぜひスクリーンでお確かめ下さい。

関口大輔(エグゼクティブプロデューサー)

 湊かなえさんの小説が大好きで、いつか映像化に挑戦したいという夢を長年抱いていました。そして『母性』と出会い、どうしてもこの小説の映像化を提案してみたいと思いました。湊さんの小説は、読むと脳内で不思議な化学反応が起き、読者それぞれの世界観が作られるのが魅力です。その世界観を大切に映像化するには、様々な才能が結集する必要があると思いました。そして今回、廣木隆一監督にオファーをして快諾をいただいた時、この小説を映像化できるという確信を持てました。湊さんの素晴らしい原作、廣木監督の才能と独特の演出が合わさって、映画『母性』が完成します。今まで見たことのないような世界にお客さんを引き込む意欲作です。是非、映画館でこの世界を体験していただければと思います。

■公開情報
『母性』
2022年秋、全国ロードショー
原作:湊かなえ『母性』(新潮文庫刊)
監督:廣木隆一
エグゼクティブプロデューサー:関口大輔
配給:ワーナー・ブラザース映画
製作:映画「母性」製作委員会
(c)2022 映画「母性」製作委員会
公式サイト:bosei-movie.jp

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