『セールスマン』日本初上映も ドキュメンタリー界の巨匠、メイズルス兄弟の特集開催へ

 ダイレクトシネマの旗手として知られるメイズルス兄弟の特集上映が、下高井戸シネマにて12月11日から2週間限定で開催されることが決定した。

 近年、『グレイ・ガーデンズ』(1975年)が日本で初上映され、再び注目を集める彼らの代表作として名高い『セールスマン』(1969年)が、製作から半世紀以上の時を経て、本邦初公開となる。また、その公開を記念して、2018年以来の劇場公開となる『グレイ・ガーデンズ』(1975年)、その前日譚とも言える作品『あの夏』(2017年)もあわせて公開される。

 アメリカ、ボストンに生まれたアルバート・メイズルス、デヴィッド・メイズルスの兄弟は、1960年代に始まるドキュメンタリー映画の潮流“ダイレクトシネマ”の代表的映画監督
。兄アルバートは、ケネディとハンフリーの大統領予備選を追ったPrimaryにカメラマンとして参加などした後、弟デヴィッドと共同での映画制作を始める。二人の代表作には今回上映される『セールスマン』『グレイ・ガーデンズ』のほかに、初訪米時のザ・ビートルズに密着した『ザ・ビートルズ ファースト U.S.ヴィジット』や、コンサート中に観客が刺殺される瞬間も捉えた『ローリング・ストーンズ・イン・ギミー・シェルター』、美術家のクリスト&ジャン・クロードを追った『クリストのヴァレー・カーテン』などがある。デヴィッドの死去の後も、アルバートは『アイリス・アプフェル!94歳のニューヨーカー』などを発表している。また、アルバートは撮影監督としてオムニバス映画『パリところどころ』のゴダール篇にも参加。ゴダールは彼のことを「アメリカ最高のカメラマン」 と評している。

 『セールスマン』は、低所得者向けに高額な聖書を訪問販売するセールスマンという無名の人々と資本主義社会の悲哀を映し出すメイズルス兄弟の代表作かつドキュメンタリー映画。「我々だけでカメラを回し、映画のために演出をしたり、指示することなど一つもせず、“その場で起こったありのままを写した”」と監督たちが語るように、後の“ダイレクトシネマ”と呼ばれるムーブメントを牽引したことでも知られる。

 『グレイ・ガーデンズ』は、ジョン・F・ケネディの親族にあたるビッグ・イディと、その娘リトル・イディの生活に密着したドキュメンタリー。マーク・ジェイコブスやアイザック・ミズラヒなどの名だたるファッションデザイナーや、Rookieブログや『Rookie Yearbook』などで知られるタヴィ・ゲヴィンソンがお気に入りの一本として挙げ、多くの熱狂的な支持を集めるカルト的人気を誇る。日本では2018年以来の劇場公開となる。

 『あの夏』は、アンディ・ウォーホル、トルーマン・カポーティ、ミック・ジャガーらがひと夏を過ごしていた1972年のモントーク。写真家ピーター・ビアードはモントークのすぐ近く、イースト・ハンプトンに住む『グレイ・ガーデンズ』で一躍有名になる前のイディ母娘を捉えていた。本作にはジョナス・メカスやウォーホルによるフッテージも一部使用されている。

■開催情報
「ドキュメンタリー界の巨匠、メイズルス監督特集上映」
下高井戸シネマにて、12月11日(土)〜12月24日(金)開催
<上映スケジュール>
12月11日(土)〜12月17日(金):18:20『グレイ・ガーデンズ』、20:20『セールスマン』
12月18日(土):18:20『あの夏』、20:15『グレイ・ガーデンズ』
12月19日(日):18:20『グレイ・ガーデンズ』、20:20『あの夏』
12月20日(月)〜12月24日(金):18:20『セールスマン』、20:15『グレイ・ガーデンズ』
<アフタートーク開催>
12月12日(日)『セールスマン』上映終了後/12月19日(日)『あの夏』上映終了後
※ゲストはグッチーズ・フリースクール公式SNSで追って発表
発表に合わせ、アフタートーク付上映回のみPeatixにて前売り券販売予定
公式サイト:shimotakaidocinema.com

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