“ヒロイン”から癖強キャラまで 巻き込まれ俳優の地位を確立した田中圭の躍進が止まらない

人気を博す田中圭の役に共通するキーワード

 『おっさんずラブ』以降の彼の出演歴と、話題になった作品で演じた役柄には共通点がある。まずは「優柔不断」。『おっさんずラブ』の春田も、吉田鋼太郎演じる部長の黒澤武蔵と林遣都演じる牧凌太の間で揺れていたり、巨乳ロリ好きということで内田理央演じる幼なじみのちずちゃんにも最初は気があったり。こういった部分は後に出演した『東京タラレバ娘』の丸井や、『獣になれない私たち』(日本テレビ系)の京谷にも通じるものがある。

 次に挙げられるのは「主夫感」。特に、相手を献身的に支える優しい旦那というキャラクターを演じることが多く、先述の『総理の夫』はまさにそういった役柄。同様に妻が政界進出をするというテーマを扱った『民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜』(フジテレビ系)でも新人議員から衆院議員まで上り詰める主人公を支える夫・公平役を演じ、専業主夫としてイクメンっぷりを発揮した。

『あなたの番です 劇場版』(c)2021『あなたの番です 劇場版』製作委員会

 相手を支える夫役という意味では『あなたの番です』(日本テレビ系)の手塚翔太にも通じている。しかし、こちらは年上の妻である菜奈(原田知世)ちゃんへの愛が凄まじく、挿入歌「会いたいよ」などからは狂気に近い感情すら受け取れる。とにかく優しくてニコニコしているが、その笑顔が逆に怖い感じは『先生を消す方程式。』(テレビ朝日系)で演じた義澤経男役にも発揮されていた。

 「優柔不断」キャラで挙げた丸井や花井京谷も、妊娠中の奥さんがいるのに別居しているからと平気で浮気したり(奥さんと住んでいる自宅に招くという凶行も)、付き合って数年にもなる彼女がいるのに元カノとダラダラ同棲生活を続けていたり、共感を得づらい男性像ではあった。そういった男性像や、手塚翔太や義澤経男といった一癖も二癖もあるキャラクターを多く演じる中でも、やはり“田中圭だから許せる”と視聴者に思わせる魅力を本人が持っているのが強い。一方で良き主夫も演じられるのは、下積みを含めた長年の演技経験があるからこそだろう。

 そんな彼が10月期ドラマ『らせんの迷宮 〜DNA科学捜査〜』(テレビ東京系)で挑むのは、天才遺伝子学者という役柄。田中にとって初のゴールデン帯ドラマ主演となる本作も、周りから変人扱いをされる神保仁という癖の強そうなキャラクターなので、期待したい。

■公開情報
『総理の夫』
全国公開中
出演:田中圭、中谷美紀、貫地谷しほり、工藤阿須加、松井愛莉、木下ほうか、長田成哉、関口まなと、米本学仁、国広富之、寺田農、片岡愛之助、嶋田久作、余貴美子、岸部一徳
原作:原田マハ『総理の夫 First Gentleman』(実業之日本社文庫)
監督:河合勇人
脚本:松田沙也、杉原憲明
音楽:富貴晴美
主題歌:miwa「アイヲトウ」(Sony Music Labels)
配給:東映、日活
制作プロダクション:ジャンゴフィルム
製作幹事:日活、東映
(c)2021「総理の夫」製作委員会
公式サイト:first-gentleman.jp

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