『マトリックス レザレクションズ』予告編を考察 モーフィアスはなぜ若い姿に?
まず全体的に言えるのは『マトリックス』1作目をなぞっていることです。トーマスと呼ばれる人物がセラピーかなにかを受けている。ここで重要なのは、さりげなく映っている黒猫。『マトリックス』では黒猫が出るときはデジャブ現象が起こります。この時のデジャブ現象は、この世界を仕切っているコンピューターがなんらかの理由でプログラムをいじった時に出るバグみたいなものと説明されていました。つまりこの猫の登場は、この日常風景が仮想空間=マトリックスということを示唆。
そしてトーマスはなにかひどい悪夢をみたらしい。しかしあまりにリアルな夢で「夢とは思えない夢をみた」と。このトーマスをキアヌ・リーブスが演じています。ここで解説すると『マトリックス』の主人公であるネオは、仮想空間で生きている時にトーマス・アンダーソンという平凡な男として生きていました。しかし彼は日常生活に違和感を感じていて、それが真相解明につながる。その時彼はトーマスという名を捨ててネオと名乗るようになります。しかし、またトーマスに戻っている。
ここで考えられるのは、『マトリックス』で活躍したネオは何らかの理由でまたコンピューターに取り込まれ、『マトリックス』でやってきた出来事は“夢”と刷り込まれてトーマスに戻されたのではないかということです。
さあここでワーナーロゴなどです。光る緑色の文字、マトリックスカラーですね。そしてトリニティとの再会! トリニティも記憶を消されている? しかし、握手して2人はなにかを感じる。
次にトーマスは青い錠剤を飲みます。セラピストから処方されたのでしょうか? ファンの方はもうお気づきですね。
『マトリックス』ではトーマスが赤い錠剤と青い錠剤のどちらかを選ぶシーンが出てきます。青を飲めば、元の日常=つまり仮想現実上の日常にもどって目が覚める。赤を飲めば、真実を知り、自分が生きてきた世界が仮想現実=嘘だったとわかる。トーマスは青を飲んでますが、途中でそれをすべて捨てる。この間、とても象徴的な歌がかかる。歌詞をよく聞くと“不思議の国のアリス”の内容を歌いあげている。そして“不思議の国のアリス”を読んでいる、メガネをかけた女性。
結論から言うと、彼女は『マトリックス』でネオのことを予言したオラクルという女性だと思います。その時のオラクルはおばあちゃんぽかったですが、ここでは若い女性です。そして次に鏡に映る姿。年老いたトーマスの姿が映る。これがネオの本当の姿で、実はもう老人なのではないか? そう考えると『マトリックス』の時から相当長い年月が経っている?
そして若いモーフィアスから赤い錠剤を渡される。いよいよトーマスはネオに覚醒? 『マトリックス』もそうでしたが “不思議の国のアリス”にちなんだ “ウサギを追って”のセリフ。赤い錠剤→“ウサギを追って”というのは、まさに『マトリックス』で彼がたどったプロセスであり、これをもう一度やらないと“ネオ”になれない(戻れない)のでは?
そしてモーフィアスとのカンフートレーニング。これも『マトリックス』の名場面を再現。このシリーズ、銃撃戦と並んでカンフーアクションも見せ場ですから。ここから後は覚醒したネオたちのアクション&アクション! これぞ『マトリックス』です。
そして最後に、本作のジョナサン・グロフ演じるエージェント・スミス。彼がネオに言うセリフが意味深。「長い年月の果てに、始まりに戻ったのさ」。このセリフからもわかるように、ネオたちの戦いがまた最初から、しかもトーマスとして偽りの人生を送らされていたころまで巻き戻されたということでしょうか? モーフィアス、オラクルが若返っている。ネオの鏡に映った姿が老人ということは、すでに時間の概念がぐちゃぐちゃです。前作から相当の時間がすでに経っているが、この仮想空間に現れる時はそれぞれが自分なりの“若い姿”で登場しているということでしょうか? だとするとモーフィアスが若返っている理由も納得(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世は思ったより適役でした)。
先ほどこの予告で観る限り『マトリックス』をなぞっていると書きましたが、多分そういうストーリーで、この作品は続編の形を借りたリメイクなんだと思います。
気になったのはネオのアクション。今まで以上にスーパーパワーを持っていますが、ガンアクションがほとんどない。これはいまのキアヌの外見でガンアクションをやると、どう考えても『ジョン・ウィック』だから、差別化のために『マトリックス レザレクションズ』では銃を持たないのかもしれませんね。
とはいえ予告編というのは本編のダイジェストではなく、またわざと観客をミスリードするつなぎ方をする時があります。ここに書いた予想がすべて外れる可能性も大ですが、とにかくマトリックスのレザレクションズ(復活)がますます楽しみになるトレーラーでした!
■公開情報
『マトリックス レザレクションズ』
12月全国公開
監督:ラナ・ウォシャウスキー
出演:キアヌ・リーブス、キャリー=アン・モス、ジェイダ・ピンケット・スミス、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、プリヤンカー・チョープラー、ニール・パトリック・ハリス、ジェシカ・ヘンウィック、ジョナサン・グロフ、クリスティーナ・リッチ
配給:ワーナー・ブラザース
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