『おかえりモネ』菅波と百音、遂に重なった2人の思い 安達奈緒子が紡ぐ美しい愛の言葉

 ゆっくり、本当にゆっくりと進展してきた百音(清原果耶)と菅波(坂口健太郎)の恋がようやく一つの幸せに辿り着いた。内田(清水尋也)がスマホを片手に報告しに来そうな勢いでSNSのトレンドは「#おかえりモネ」「#俺たちの菅波」「菅波先生」と『おかえりモネ』(NHK総合)関連ワードが上位を席巻。登米の森林組合の人々と同じニマニマ顔で2人を見守っていた全朝ドラ視聴者が、一斉に祝福ムードとなった表れだ。

 2人が互いを意識始めたのはいつからだったか、それは本人たちもパッとは答えられないほど至極曖昧だ。百音に至っては明日美(恒松祐里)に囃し立てられ自身の気持ちを徐々に受け止め始めたほど。だが、そんな贅沢な描き方ができるのも長いスパンで日々習慣的に放送される朝ドラならでは。その中でも、劇的な出会い方でもない、さらには初恋が実らないという朝ドラのセオリーを覆してしまった『おかえりモネ』、つまりは安達奈緒子の脚本が絶賛されるポイントはそこにある。

 2人の表情やタメ口など、心の機微を読み取るヒントは幾つか存在していたが、最も分かりやすい指標としてあったのが彼らの距離である。百音が菅波に言った「私、先生とは距離が空いたとは思いません」が指すのは心の距離。互いに相手の気持ちを理解しながらもなかなか縮まらなかったのは物理的な距離だ。登米でお互いの体温を感じるほどに急接近したのは熱伝導を教えようとしたサヤカ(夏木マリ)による策略。ツーショットを撮ったのも言ってしまえば亜哉子(鈴木京香)に送るからと未知(蒔田彩珠)に並べられたものだった。菅波の背中をさすった心の手当ては百音から手を差し伸べた行動。菅波が勇気を振り絞ろうとすると耕治(内野聖陽)が現れたりとなかなかタイミングに恵まれなかったのもある。

 そんなじれったい今までがあったからこそ、菅波からのハグは視聴者を一気に狂喜乱舞させる力を持ち合わせていた。引き寄せてからのハグ。でも、左手は宙に浮きハグ仕切れてないところが俺たちの菅波だ。

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