『賢い医師生活』S2第10話 2度目の配信休止前のクリフハンガーとファンサービス
9月2日の『賢い医師生活』の配信は、FIFAワールドカップアジア予選のため放送（配信）が休止となることが発表されている。7月末に続き2度目の放送休止前の第10話は、残り2話となったシーズンフィナーレへと期待をあおるクリフハンガーと、昨年のS1から今年6月のS2放送開始の間に培われたファンダムへのサービスを取り入れたファン感謝回だった。“パラレルの法則”が示すように、S1第10話と関連や対になるエピソードが多数描かれ、ギョウルが病院の階段の“真実の椅子”で電話するのは『応答せよ1997』（最終回から2話前の第14話）、ミナの父親役は『応答せよ1994』の第10話でも下宿生の父親を演じている。
約1年間のS2待機中に、YouTubeの「チャンネル十五夜」では、毎週新しいコンテンツが配信されていた。その中にはS1放送終了直後にバラエティ番組『新西遊記』などのプロデューサーのナ・ヨンソク氏と演出のシン・ウォンホ氏、ソッキョン役のキム・デミョンが生配信を行ったものや、主演の5人がキャンプをする「賢いキャンプ生活」などがあった。第10話には、例えばウジュのガールフレンド、モネの父親やジュンワンがトマトを2度洗いするといった、「チャンネル十五夜」の内輪ネタが取り入れられている。それらを知らずともドラマを楽しむことができるが、一歩踏み込むとさらにおもしろくなるのが『賢い医師生活』。主演5人はドラマ本編の撮影が終了したのちにナ・ヨンソクプロデューサーと再集結し、バラエティ番組を撮影するという情報も出ている（参考：【公式】ドラマ｢賢い医師生活2｣のチョ・ジョンソクら主要キャスト、ナ・ヨンソクPD制作のバラエティ番組に出演へ…局側は｢企画段階｣－韓国ドラマ）。
ギョウルは、母親の手術・入院、そして彼女が生きてきた環境について、ジョンウォン（ユ・ヨンソク）に全てを告白する。ソッキョン（キム・デミョン）の母は、彼が米国研修を思案中と明かす。そのソッキョンは、ミナを週末のデートに誘う。イクスンと向き合って話すことができたジュンワン（チョン・ギョンホ）は、二人の気持ちが変わっていないことを確認する。イクジュン（チョ・ジョンソク）の誕生日プレゼントを留守中の部屋に届けるソンファ（チョン・ミド）。深夜のユルジェ病院に、後頭部を強打された外傷患者の緊急搬送連絡が入る……。
第10話で語られるのは、人と人との繋がり。夫婦、親子、きょうだいの絆もあれば、学生時代からの親友、職場の同僚、恋人たち、そしてバンド仲間の縁もある。このエピソードでは、親友から肝臓移植を受ける患者をイクジュンが診療し、心臓外科のフェロー、ジェハク夫妻にふりかかった問題に対し、ソッキョンが“頼りになるクマ”ぶりを発揮する。法的や血縁にない関係だとしても、お互いを思い合う関係はどれもが尊く、様々なつながりによって人間は生かされている。『賢い医師生活』S2で描かれようとしていることは、S2第5話のソッキョンの「他人だったのに、支え合い愛情も注げるんだな」というセリフと、S2第2話で彼がボーカルをとった「Autumn Outside The Post Office（秋の郵便局前で）」の歌詞に集約されている。思えば、S1もS2もソッキョンのシーンから始まり、バンド再開を言い出したのも、S1第12話で「時間がもったいないから、好きなことを諦めず生きていたい」とつぶやいたのもソッキョンだった。その思いは、第10話のバンド演奏曲「It’s My Life」の歌詞にも共鳴する。ボン・ジョヴィが2000年に発表したこの楽曲は、フランク・シナトラの「マイ・ウェイ」を引用しながら、「これは自分の人生、今やるか、やらないかだ。俺の道を行くとフランキーが言うように、命のある限り自分の人生を歩むんだ」とメッセージを送る。S1と違うのは、自分たちに向けてだけではなく、「遊び相手がいないと困る」と臓器提供をする友人、イクスン、ギョウルとカウルの姉弟、ジェハク夫妻、そして心配性な移植コーディネーターなど、周囲に支えられながら懸命な選択をする人々にも捧げられていることだ。
