岡田健史、『青天を衝け』渋沢平九郎を語る 「こんなにも濃厚に生きる事が出来るのか」
吉沢亮が主演を務めるNHK大河ドラマ『青天を衝け』。このたび、渋沢平九郎役の岡田健史よりコメントが寄せられた。
本作は、新一万円札の顔としても注目される渋沢栄一(吉沢亮)を主人公とした、大河ドラマ第60作目。幕末から明治へと、時代の大渦に翻弄され挫折を繰り返しながらも、青天を衝くかのように高い志を持って未来を切り開いた渋沢の姿を描く。
岡田が演じる渋沢平九郎は、尾高家の末っ子であり、栄一の妻・千代(橋本愛)の弟。栄一のパリ行きに伴い、栄一の養子となるが、そのことがきっかけとなり幕府崩壊の動乱に巻き込まれていく。
岡田は本作が大河ドラマ初出演。1年間同じ人物を演じてみて、「変化というか、新しく気づかされた事はあります。何かが変わったのではなく、新しく発見したものが追加されていった、という感覚です。実在の人物を演じることは膨大なエネルギーを要すると共に、こんなにも濃厚に生きる事が出来るのかという驚きもありました」と振り返る。
また、実在の人物を演じるのも本作が初めてであり、演じる難しさがあったという。「先の展開やその最期がどのようにな るか分かっているからこそ、簡単には演じることができないことに気づかされました。例えば『渋沢栄一役をやりたいです』とか、口先では簡単には言うことが出来ますが、実際に演じるとなると全然簡単じゃないと思います。もちろん、架空の人物を作るのも難しいのですが、それとは異なる大変さがあり、命を削るというか、まさに命がけで演じることができたという手応えを感じています」
平九郎は8月22日放送の第25回で命を落とす。平九郎の最期については、「平九郎の最期のシーンの撮影の時には自然と涙があふれていました。天国で渋沢平九郎さんが『お前に演じてもらって俺はうれしい』とか思ったりしてくれたかな、と言う思考にいたった結果なのですが、実在の人物の最期を演じることで『こういうふうな気持ちになるんだな』と新鮮な思いでした」と強い思いで演じたことを明かした。
そして、最も印象的だったシーンは“平九郎の最期”ではないと岡田は語る。「最期のシーンは、変な話、僕でなくても壮絶なシーンになると思います。そうではなくて、そこに至るまでの“平九郎”という人物をどのように作ってきたのか、という事こそ僕にしかできない平九郎なんだと思います。それはよしあしで図れるものではなくで、良くも悪くも僕がそれまでに作ってきた“平九郎”がそこに至ったと言うのがその最期のシーンではあります。そういった意味では一番印象的なのは、第7回のシーンでしょうか。第7回では栄一と惇忠(田辺誠一)が漢詩を詠みながら藍売りの旅に出るのですが、出発前に剣道場でそれを聞いた平九郎が栄一に 『へぇ。詩かぁ。いいなぁ』と平九郎がひと言こぼします。僕は純粋な憧れの対象である“兄ぃ”たちとの関係性を徐々にズームアップしていく事こそが、平九郎を演じる上での真骨頂であると考えていましたし、平九郎の最期を演じるにあたっても、僕が考えたのは“兄ぃ”たちの事でした。“兄ぃ”たちを慕っている平九郎の中身を濃く作っていくために一番考えて、またその後のリズムを掴つかむことができたこともあって、そこが一番印象に残っています」
最後に視聴者へ向けて、「なんと言って良いか非常に難しいのですが、僕もこれまで自分が見て演じてきた平九郎の事を信じながら最期のシーンを迎えました。これまで『青天を衝け』をずっとご覧いただいている視聴者のみなさまにも、僕の事を信じて、平九郎の最期を見届けていただきたいです」とメッセージを送った。
■放送情報
大河ドラマ『青天を衝け』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアムにて、毎週日曜18:00~放送
BS4Kにて、毎週日曜9:00~放送
出演:吉沢亮、小林薫、和久井映見、村川絵梨、藤野涼子、高良健吾、成海璃子、田辺誠一、満島真之介、岡田健史、橋本愛、平泉成、朝加真由美、竹中直人、渡辺いっけい、津田寛治、草なぎ剛、堤真一、木村佳乃、平田満、玉木宏ほか
作:大森美香
制作統括:菓子浩、福岡利武
演出:黒崎博、村橋直樹、渡辺哲也、田中健二
音楽:佐藤直紀
プロデューサー:板垣麻衣子
広報プロデューサー:藤原敬久
写真提供=NHK