ゴールデンボンバー・歌広場淳も虜に 『刃牙はBL』“人と違う”松本穂香の魅力
社会学者・BL(ボーイズラブ)研究家の金田淳子による『『グラップラー刃牙』はBLではないかと1日30時間300日考えた乙女の記録ッッ』(河出書房新社)を原案としたドラマ、『グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ』が8月20日23時からWOWOWで放送・配信スタート、第1話は無料放送される。
リアルサウンドではこれに先立ち、金田淳子を敬愛しているゴールデンボンバー・歌広場淳へのインタビューを実施。後編となる本稿では、ドラマならではの面白さから本書が映像化された意義まで、深く掘り下げてもらった。(編集部)
▶︎前編はこちら(ゴールデンボンバー・歌広場淳、『刃牙』をBLとして楽しむ乙女に共鳴 「一つの作品を二度楽しむ豊かな体験」)
「ドラマとしてちゃんと面白くなっているのがうれしい」
ーー原作(原案)に早くから注目されていた歌広場さんですが、WOWOWオリジナルドラマ『グラップラー刃牙はBLではないかと考え続けた乙女の記録ッッ』の第1話を観て、どんな感想を持ちましたか?
歌広場淳(以下、歌広場):まず、主人公の児島あかねに扮する松本穂香さんの演技力がすごすぎて、イケナイものを観ている気分になってドキドキしてしまいました(笑)。NHK連続テレビ小説『ひよっこ』や『この世界の片隅に』(TBS系)のイメージもあり、こういうぶっ飛んだ演技をする姿が想像できていなかったので、「妄想を爆発させる松本穂香を見る」というのが単純に楽しかったですね。また、今回のドラマは、そんな“オタク・松本穂香”の愛おしさと、“『グラップラー刃牙』をBL的に見る”というテーマのキャッチーさで人気を広げていくと思うのですが、そういう“本筋”にかかわらないところが面白かったのも印象的でした。例えば、『グラップラー刃牙』(以下、『刃牙』)の単行本をネット通販で注文したのになかなか届かず、あかねが「『刃牙』は面白いから、配達の人もきっと途中で読んでしまうんだろう」という妄想を広げるところ。そのおかしな発想が丁寧に映像化されていて、「そうはならんやろ!」と思わずツッコみました(笑)。
ーー主人公の想像力のたくましさがよく表れているシーンですね(笑)。
歌広場:テーマであるBLに関する描写ももちろん面白いのですが、そうじゃない部分もきちんと面白いのが、カネジュン(金田淳子)先生のファンとしてうれしかったです。「刃牙×BL」というキャッチーな部分だけを面白おかしく取り上げるのではなく、ドラマとしてちゃんと楽しめるように作られているということがわかって、続きが観たくなりましたね。
ーー確かに、「BL」というキャッチーで刺激的なところだけにフォーカスすると、もう少し違った内容になったかもしれませんね。偏見なく、シンプルに「面白い作品だからドラマ化した」という感じがして。
歌広場:そうですね。もちろん、メインテーマになるBL的な妄想の部分はこれからどんどんテンションが上がっていくでしょうし、そっちは暴走してもらいつつ、会社の同僚やオタク仲間との交流も含めて、その他のパートも楽しみだなと。僕が好きなゲームに例えると「ゲーミングPC」のように、ゲーム(BL)を楽しむのがメインかもしれないけれど、ちゃんとPC(ドラマ)としてもハイスペックだよ、という作品にこのままなっていくんじゃないかと。また、前編で本作は「主人公の成長の記録」、つまり「成長譚」でもあるというお話をしましたが、「人が成長していく様子を見る」というのはエンターテインメントとして確立していて、要するに、人が何かに夢中になっている様子を見るのはそれだけで楽しいんですよ。何かを好きになり、それに触れてドキドキしている様子とか、困難を乗り越えようとしている真剣な姿というのは、見ていて単純に面白い。このドラマも、そういう楽しみ方ができると思います。
ーー自分たちが面白いと思うものに対してとことん真剣に向き合い、夢中になっている姿を見せる、というのは、ゴールデンボンバーが体現してきたことでもありますね。
歌広場:そうですね。今回のドラマについて言えば、あかねが『刃牙』にどんどんハマっていく様子はやっぱりエンターテインメントだし、もちろん、ただ楽しいだけでなく「困難」も今後出てくるでしょうから、それをどう乗り越えていくのか、というのも楽しみになりました。