『ゴーストバスターズ』には過去作のオマージュが満載 グレードアップした映像にも注目

 今から30年以上も前に公開された超常現象コメディ映画『ゴーストバスターズ』(1984年)は世界各国で大ヒットを記録し、この成績の良さから監督以下、ほぼ同じキャストによる続編『ゴーストバスターズ2』(1989年)も作られた。その第2作から27年後、新たなキャストで制作されたリブート版が『ゴーストバスターズ』(2016年)だ。

 80年代のオリジナル版では男性だった主人公チームが全員女性に変わっている。リブート版といってもキャラクター配置はオリジナル版に準じており、幽霊退治専門のゴーストバスターズを最初は白人3人で立ち上げ、やや遅れて黒人1人が加入し、受付係は眼鏡をかけているというところまでリブート版とオリジナル版は共通している。ゴーストバスターズたちが、小型原子炉をエネルギー源とした武器・プロトンパックをリュックサックのように背負っているところも同じ。

 80年代に公開された最初の2作で監督を務めたアイヴァン・ライトマンのもと、オリジナルキャストを集めたシリーズ第3作目の構想は2000年代に度々報じられていたが、脚本づくりの難航やキャストの出演辞退(のちに撤回)など幾度も困難に見舞われた。公開スケジュールの変更が重ねられている中でオリジナルキャストの1人、ハロルド・ライミスが長い闘病生活の末に他界し、続編としての3作目の案は消えてリブート版を製作することになった、というのが本作誕生の経緯だ。アイヴァン・ライトマンは監督を降板したが、製作という立場で参加している。

 さて、リブート版として生まれ変わった『ゴーストバスターズ』だが、1984年のオリジナル版を観たことがない初見の人でも楽しめる。登場人物も舞台も新しく設定されているので、シリーズ作品が陥りがちな“前作の予備知識がないと人物関係が分からない”という弱点がないからだ。

 大学で素粒子物理学の教鞭をとっているエリンが、幽霊の本を共同執筆した心霊現象研究家アビーと再会したのを契機に、アビーの友人ジリアンを含めた3人で超常現象究明研究所を立ち上げることとなる。受付面接にやってきた残念な二枚目男性のケヴィン、地下鉄職員のパティもメンバーに加入し、彼女たちはゴースト調査に乗り出してゆく……というのが本作の大筋。このドラマ進行の中、オリジナル版を愛するファンには嬉しいサービスが随所に仕掛けられているので、年季の入ったゴーストバスターズ・ファンには、そんな過去作のオマージュも含めて楽しめるだろう。

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